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「所持品検査」に抵抗して警察官にかみついた! 逮捕されたけど「無罪」なのはなぜ?

2015年03月18日 14:51  弁護士ドットコム

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所持品検査に違法性があったから、抵抗したのは適法――。公務執行妨害などの罪に問われたイラン国籍の男性の刑事裁判で、大阪地裁の長井秀典裁判長は3月上旬、無罪判決(求刑:懲役1年6月)を言い渡した。


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報道によると、男性は昨年6月下旬、大阪市浪速区の路上で大阪府警西成署員から職務質問を受けた。その際、駐車中の車内の捜索に承諾したが、署員が車内にあったカバンの中まで調べようとすると抵抗。署員の腕にかみつくなどしたという。



男性は公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。その後、自宅や車から覚せい剤や大麻などが押収され、覚せい剤取締法違反(所持)などの罪にも問われた。



しかし、長井裁判長は「警官に抵抗するためにかみついており、正当防衛にあたる」として、公務執行妨害について無罪を言い渡した。また、覚せい剤取締法違反などについても無罪とした。なぜ、このような判決になったのだろうか。刑事事件にくわしい岩井羊一弁護士に聞いた。



●人に意思に反する『所持品検査』は許されない


「犯罪の捜査のためとはいえ、人の意思に反してカバンの中を調べるような『所持品検査』は、法律上、許されていません」



岩井弁護士はこう切り出した。どんな理由があるのだろうか。



「個人の『プライバシー保護』の観点から、原則として、裁判官の令状がある場合にしか、人の意思に反する捜査はしてはいけないことになっています。



違法な手続きで得た証拠による立証を許せば、捜査機関が手続きを守らないことに歯止めがなくなります。私たち市民が、捜査機関の違法な捜査でプライバシーを侵害される危険にさらされることになりますし、捜査機関への信頼もなくなるでしょう」



●所持品検査は拒否できる


そもそも、所持品検査は拒否できるのだろうか。



「警察官による所持品検査は、拒否することができます。もし、強い拒否があったにもかかわらず、捜査機関が所持品検査をおこなった場合、裁判所は無罪にしなければなりません」



意思に反する所持品検査が行われた場合、どんなときでも、無罪になるのだろうか。



「必ずしもそうではありません。たとえば、警察官がホテルの客室に赴いて、宿泊客に対して職務質問を行ったところ、不可解なことを口走り、手には注射器を握っていたなどの事情により、被告人に対する覚せい剤事犯(使用・所持)の嫌疑が飛躍的に高まったことから、テーブルにあった財布の中身を調べ、ファスナーの開いていた小銭入れ部分から覚せい剤を発見したケースがありました。



裁判では、この覚せい剤の証拠能力が争われましたが、証拠にすることについては適法だとされました」



今回のケースは、どうして無罪になったのだろうか。



「報道によると、判決では、『薬物使用を疑わせる言動もなかった』と指摘されているようですから、原則通り、所持品検査は違法という判断に至ったのでしょう」



岩井弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
岩井 羊一(いわい・よういち)弁護士
過労死弁護団全国連絡会議幹事、日弁連刑事弁護センター副委員長 愛知県弁護士会刑事弁護委員会 副委員長
事務所名:岩井羊一法律事務所
事務所URL:http://www.iwai-law.jp/