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スーパーGT:GT300のカギ握る!? 好調Direction Racing、岡山公式テストで好タイム

2015年03月17日 22:10  AUTOSPORT web

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スーパーGT岡山公式テストで好タイムをマークしたKSF Direction Ferrari 458
3月14日~15日に、岡山国際サーキットで開催されたスーパーGT公式テスト。2日間の走行では多くのシェイクダウンのマシンがあったが、GT300クラスの中でひときわ好調な走りをみせたのが、横溝直輝/峰尾恭輔/飯田太陽がドライブしたKSF Direction Ferrari 458だ。

 今季、Direction Racingは昨年までのPACIFIC RACINGとのコラボとは別の形で、ひさびさのスーパーGT登場となるフェラーリ458 GT3を投入。フェラーリ458のレース車両を製作するミケロット、ブランパン耐久シリーズのトップチームであるケッセル・レーシングの協力の下、全レース/テストへのエンジニアとメカニックの派遣を含めたテクニカルサポートを受けることになった。

 迎えた岡山公式テストは、そんなKSF Direction Ferrari 458にとって初めてのテスト。岡山に運び込まれたフェラーリ458 GT3は、金曜搬入日の時点ではフェラーリレッド一色でロゴがひとつも貼られておらず、市販車のような状態。土曜の1日目走り出しではカーナンバー等がつけられたが、シェイクダウンを強く感じさせる状態だった。

 しかし、ウエットだった初日午前のベストタイムこそ1分42秒548で16番手だったものの、ドライとなった午後のセッションでは1分27秒960で9番手に。さらに2日目午前にはわずかにタイムを縮め6番手。さらに2日目午後の走行では2番手と、尻上がりにベストタイムを縮め順位を上げていった。

 もちろんテストでの順位は参考にしかならないが、シェイクダウンとは思えぬ好調ぶり。テスト後横溝に感想を聞くと、「良いですよ!」と笑顔で答えてくれた。

「特にトラブルもなく順調にテストを終えることができました。昨日は午前中雨が降っていて満足なセッティングができなかったんですが、今日はセットを進めていくことができました。コンディションが複雑でしたが、ポジションが上に上がってきているのはすごくいい感じです」

 今回非常に順調にテストを終えることができたのは、「どこをやったらいいのかを分かっている。そういう意味では手探りで始めるのではなく、やるべきことを決めてやれているので、そこはすごい近道ができていると思います(横溝)」とミケロット、ケッセルのエンジニアとメカニックの存在が大きいという。

 ただ、今回の岡山テストでのフェラーリ458は完全な2015年バージョンではない。実はまだサスペンション周辺の15年アップデートが届いておらず、富士テスト以降での投入となるのだ。それでもこの好調ぶりは、ライバル陣営にとっては脅威と言えるだろう。

 実はフェラーリ458 GT3は、他のGT3レース等の成績から非常にポテンシャルの高いマシンであると多くのチームで考えられている。しかし、それでもフェラーリを使用するチームが少なかったのは、他のGT3車両とは異なる19インチのリヤタイヤの存在だ。過去に存在したチームマッハも、19インチタイヤに苦しんでいた。

 しかし、今回Direction Racingは横浜ゴムと協力し、19インチタイヤを積極的に開発することになっている。「開幕は路面温度等も変わるでしょうしなんとも言えないですけど、今後サスペンションをアップデートして、横浜ゴムと協力しながら一日でも早く、もっとフェラーリに合ったタイヤを作っていかなければならないと思います」と横溝は言う。岡山でもみせたような速さを持続させるためには、19インチタイヤが大きなカギを握っているのだ。

 とは言え、チームの雰囲気は非常にいい。「横溝君がタイムを出してチームの士気を上げてくれていますね。内容が充実していて、4日間くらいテストした感覚です。ダークホース的な存在じゃないですけど、シーズン中盤には優勝争いに絡んでいきたい」と言うのは峰尾だ。

 2012年のGT300チャンピオンコンビだけに、ドライバー面での実力は十分。チーム、フェラーリのポテンシャルも高そう。実力伯仲の今季のGT300クラスで、KSF Direction Ferrari 458はシリーズのカギを握る存在になるかもしれない。