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F1オーストラリアGP決勝予想:メルセデス盤石の速さ。しかし戦略次第で逆転も可能?

2015年03月15日 06:50  AUTOSPORT web

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今季も圧倒的な速さを見せるメルセデスAMG。その強さを脅かす存在はいるのか?
2015年のF1開幕戦オーストラリアGPの予選は、大方の予想どおりメルセデスAMGのルイス・ハミルトンがトップタイム、2番手にもニコ・ロズベルグが入り、メルセデスAMGがフロントロウを独占しました。このチームの速さは今年も続いているというよりも、昨年よりさらに速さに磨きをかけたという印象です。

 ポールポジションのハミルトンのタイムは1分26.327秒。直近のライバルであるウイリアムズのフェリペ・マッサ(1分27.718秒/3番手)より、なんと1.391秒も速いのです。つまり、レース(58周)を走り切った際には、80秒以上の差がついてしまう計算。まさに恐るべき速さです。

 ただ、昨日のフリー走行を見る限り、一発のアタックラップでは勝負にならないとはいえ、レースペースではフェラーリ(4番手セバスチャン・ベッテルと5番手キミ・ライコネン)もかなり高いレベル。メルセデスAMGに匹敵すると思われます。

 しかし、フェラーリにはひとつ大きな問題があります。それは、前述のマッサに予選3番手を獲られてしまったことです。ウイリアムズも一発の速さではフェラーリにヒケを取らないどころか、むしろフェラーリよりも速いと言うことができます。しかし、レースペースを見ると、フェラーリよりも劣っているという印象。ウイリアムズのマシンはタイヤに厳しいようで、タイヤのデグラデーション(性能劣化)によるペースダウンが、フェラーリに比べて大きいと見込まれます。フェラーリはウイリアムズのペースが落ちてきた際にオーバーテイクを仕掛けることになるはずですが、一発でズバッと抜くことができるかどうか? 落ちてきたペースに付き合わされてしまっては、メルセデスAMGを追うのが難しくなってきます。

 ただ、ウイリアムズは今年も“直線番長”。最高速計測地点での数字はトップクラスです。つまり、ウイリアムズはコース上でもっとも抜きにくい1台と言うことができそう。フェラーリもウイリアムズに次ぐ直線スピードを見せているのですが、それでもオーバーテイクは至難の業。ゆえに、ベッテルとライコネンは、なんとかスタートでマッサの前に立ち、早々にメルセデスAMGを追う体制を築きたいはずです。

 ちなみに、上位6台のうちフェラーリの2台とバルテリ・ボッタスは、ソフトタイヤを予選で全て使い切ってしまっています。一方、メルセデスAMGの2台とマッサは、3セットしか使っておらず、決勝に新品タイヤを1セット残しています。ロングランのペースを見る限り、フェラーリはおそらく1ストップ作戦を選択してくるものと思われますが、一方メルセデスAMGとウイリアムズは、2ストップ作戦も可能。ピレリは「2ストップが最速」と発表していますが、同社のモータースポーツ・ダイレクターであるポール・ヘンベリーは「サプライズの余地が残っていると思います」とコメントを発表しています。そのサプライズとはいったい何でしょうか? 決勝ではぜひ戦略にもご注目ください。

 メルセデスAMG、フェラーリ、ウイリアムズは、現時点での“3強”として、頭ひとつ分(メルセデスAMGはふたつ分かもしれませんが……)抜け出ていると言えるでしょう。その後方が、やはり熾烈な争いになりそうです。

 そんな中でも7番グリッドを獲得したレッドブルのダニエル・リカルドは、まさに“意地”のアタックだったと言ってもいいでしょう。本来の勢力図なら、おそらく3強の次に来るのはロータスの2台。ここまで満足に走行できていなかったにも関わらず、ロータスの2台より速いタイムを記録したリカルドは、讃えるべきでしょう。そういう意味では、ルーキーにも関わらず8番手グリッドを獲得したカルロス・サインツJr.(トロロッソ)もお見事。彼らふたりと、ロータスの2台、ザウバーのフェリペ・ナスル、そしてトロロッソのマックス・フェルスタッペンとレッドブルのダニール・クビアトが、入賞を争うことになるはずです。

 ただ、ロングランのペースはロータスがかなり良さそうなので、リカルドとサインツJr.を交わすことができれば、後続との差を開いて入賞を確実なモノとするでしょう。昨年の不振が嘘だったかのようです。それ以外の5台は、熾烈な入賞争いとなるでしょう。

 フォース・インディアは、14番手(ニコ・ヒュルケンベルグ)と15番手(セルジオ・ペレス)が精一杯というところでした。昨年ならば、レースペースの良さを活かして、この位置からの上位進出という可能性もありました。しかし今年も安定してはいるものの、ペース自体がライバルよりもかなり遅いため、異なる戦略を採ったとしても、上位に進出するのは容易ではないと思われます。

 さて最後にマクラーレン・ホンダですが、予想以上に厳しい戦いとなっています。実質的な直近のライバルはフォース・インディアでしょうが、1周のラップタイム差は1.5秒~2秒。パワーユニットの出力をセーブしたことが原因と言われていますが、前日ジェンソン・バトンが危惧した「グリッド最後列」が現実のモノとなってしまいました(マノーの決勝出走は難しいと思われるため)。今回のレースでマクラーレン・ホンダが、フォース・インディア含むライバルと争うのは、おそらく難しいはず。今後の進化に、心から期待したいものです。