2015年03月14日 12:51 弁護士ドットコム
逮捕のきっかけは「常識では考えられない数の避妊具が放置されている」という通報だったーー。警視庁は2月末、「大人のパーティー」とうたって出会い系サイトで客を募集し、東京都内のホテルで「乱交パーティー」を開いたなどとして、40代の男性会社員2人を売春防止法違反の疑いで現行犯逮捕した。
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報道によると、摘発されたとき、ホテルの部屋には男性17人、女性6人がいたという。男性からは2万5000円~3万円を徴収する一方で、女性に対しては4万円を支払っていた。逮捕された男性2人は、インターネットで客を集め、月2回ほど乱交パーティーを開催していたという。
ただ、乱交パーティーといっても、密室で他人に迷惑をかけずに行われたのなら、個人の性癖として済まされそうな気もする。なぜ、乱交パーティーを開いた男性らは逮捕されたのか。また、今回のようなケースでは、パーティーに参加した人も罪に問われるのだろうか。松原祥文弁護士に聞いた。
「結論から言うと、乱交パーティーを開いた男性2人は、売春防止法違反の罪に問われます。一方、参加者については、男性、女性ともに、同法の罪には問われないと考えます」
松原弁護士はこのように切り出した。なぜだろうか?
「売春防止法では『何人も売春をし、又はその相手方となってはならない』と規定し、売春行為を禁止しています。ただし、売春行為そのものについては、基本的に罰則の対象としていないのです。
罰則の対象となるのは、売春を行う者が、公衆の迷惑となるような方法で客を勧誘する場合です。また、今回のケースのように、経営者などが広告などの方法で、売春の相手方となるように人を誘引したり、他人に売春をさせることを内容とする契約をするといった『売春を助長するような行為』も、罰則の対象となります。
売春防止法は、こうした罰則を設けることによって、売春の根絶を図ろうとするものです。誤解されがちなのですが、売春をしたり、その相手方となった個人を処罰する法律ではありません」
「売春防止法」という名前のイメージとは異なり、売春する人やその客は、基本的には処罰されないということだ。その一方で、乱交パーティーの「主催者」が逮捕されたのは、なぜなのか。
「乱交パーティーを開いた男性らは、ネットの掲示板で客を募集しています。また、女性従業員が売春することを知りながら部屋を提供したと報じられていますので、その点が売春防止法に抵触し、逮捕されたと考えられます」
楽しんだ客たちは逮捕されず、処罰されるのは主催した2人だけなのか?
「パーティーに参加した人たちは、売春防止法の罪には問われないでしょう。ただ、今回のケースは、20人以上もの不特定多数の人間が、ホテルの一室でわいせつな行為を行っているため、『不特定多数の人の目に触れるような場所でわいせつな行為をした』として、公然わいせつ罪に問われる可能性はあると思います」
乱交パーティーは「個人の性癖」として放置されるわけではなく、開催する側にも参加する側にも、相当なリスクがあると知っておくべきだろう。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
松原 祥文(まつばら・よしふみ)弁護士
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