オーストラリアGP,マクラーレン・ホンダの今季初めての公式セッションはFP1:14位/15位、午後のFP2は13位/15位という結果に終わった。トップチームに比べて、タイムだけでなく周回数でも大きく離される結果になったが、この金曜日の走行をホンダの新井康久F1プロジェクトリーダーが共同会見で振り返った。
FP1ではジェンソン・バトンが6周、ケビン・マグヌッセンが7周、しかも、セッション途中でマシンを馬の上に挙げ、早々にこのセッションでの走行を諦めてしまった。一時はメカニカルトラブルとの情報も流れたが、新井氏によれば、実際にはハード面にトラブルはなかったという。
「FP1は吸気系の制御が上手くなくて、ケビンの方を先に止めましたが、同じ症状がジェンソンにも起きていた。メカニカルに影響してしまうトラブルだったので止めました。そこからセッションの残り時間が少ないので、FP2に向けて全部のデータをもう一回見直すということでP1はそのままストップしました」
FP2では、好調に周回を重ね始めた思われたマグヌッセンがターン6の右コーナーでスピンし、コンクリートウォールに左フロントからクラッシュ。マグヌッセンは早々にセッションを終えてしまう。
「ドライバーのミス。恥ずかしい」と素直に非を認めるマグヌッセン。
新井氏を初めとしたホンダ側のプランも、これで変更を余儀なくされる。「セクター1を結構速めのタイムで入っていたので、本人もこれからタイムを上げていこうと思っていた矢先だったと思います。それでリヤがブレークして、コントロールを失った。壁がなければマシンへのダメージもなかったのでしょうけど、我々も残念で、1台分だけでデータを取ることになってしまった」
1台になったマクラーレン・ホンダはジェンソンが21周を走行。最後はバトンがパワー不足を訴えてマシンを止めたが、新井氏によればこれはトラブルではないという。
「ジェンソンの方は、いろいろなことを試しながらやっていて最後はパワーセーブモードに入ってしまった。それはデータ的に不具合があったのでトラブルではありません。データの設定が甘かったのでパワーセーブモードに入ってしまった。設定値の見極め不足かなと。もちろん、安全のためにセーブするように作るわけですけど、そのデータの設定がこのサーキットに合っていないというか、少しロングランをやったので、その中で閾値を超えるところが出てしまった。納得のパワーダウンでした」
この本番の公式セッション初日を終えて、さまざまな課題が見つかった。その中でも一番の課題は、ソフトウェアの設定時間の短さだ。
「まだまだ(エネルギーを)どこに割り当てるかというのが全然、できていない。途中で(エネルギーが)なくなったりということもあって、MGU-Kのパワーの割り振り方が上手くできていない。エネルギーをどうリカバーして、どうやって使うか。もうちょっとエネルギーをやりくり上手にならないと、レースでは勝てないなという実感ですね。インとアウトで結局、借金が残っちゃう、みたいな感じですよね。もう少し、そこのあたりをデータ解析してどう割り振るか。データの割り付け方をもう少し細かくやらないと、良いタイムがでないなというのが分かりました」
その実戦に向けての熟成不足は当然、プレシーズンテストの走行量の不足が最大の原因だが、サーキットごとの経験不足もボディブローのようにタイムに響いてきている。
「プレシーズンテストできちんと走り込めなかったというのがかなり大きいです。それと、ここのサーキットとバルセロナのサーキットは全然違うのがあります。ここは相当フラットで路面がスリッピーですので、ブレーキングポイントもどこまで突っ込めるかというのは、ドライバー自身も相当、調整しながらやっている。ハードウェア面での不安はないですが、データ設定はやればやるほど良くなっていくのは事実なので、やっぱりここに来て(走行量の少なさが)効きますよね」
金曜の結果として、ベストタイムを比較すると、トップのメルセデスから約5秒差、3番手のウイリアムズからも約3秒、離された結果となった。
「明日のFP3とクオリファイに向けて、今、さくらの研究所とリアルタイムでデータを見直しています。今日のタイムはご参考ということで。明日、ちゃんと走ります。きちんと戦えるようにするのが今夜から明日かなと思っています」