ヨーロッパで開催されているF3規格のミドルフォーミュラシリーズ『ユーロフォーミュラオープン』に参戦している金丸悠が、シリーズ開幕を前に行われた“ウインターシリーズ”で優勝を飾った。
F3の現行シャシーで争われているユーロフォーミュラオープンは、スペインF3の流れをくむミドルフォーミュラシリーズ。参戦コストも比較的安価で、毎レース多くのエントリーを集めている。
カートの世界最高峰カテゴリーとなるCIK-FIA世界選手権KF1クラスで日本人初優勝を挙げるなどカートの分野で活躍してきた現在20歳の金丸は、フォーミュラ・ルノー2.0参戦を経て、昨年からこのシリーズに挑戦。F3デビューイヤーとなった昨年は合計4度のポディウムを獲得し、ランキング4位でレースを終えた。
ユーロフォーミュラオープンでは、“ウインターシリーズ”と題して、開幕前に合同テストを3回にわたって開催している。昨年と同じくエミリオ・デ・ビロタ・モータースポーツからシリーズを戦うことが決まっている金丸は、2月にヘレスで行われた今季初の合同テストにも参加。初日を3番手で終えると、2日目はウエットでもドライでも速さを発揮し、4つのセッションすべてでトップタイムをマーク。幸先の良いスタートを切っていた。
プレシーズンテスト2回目の舞台はポールリカール。3月6~7日に行われたこのテストでは、通常の走行だけでなく、実戦と同じく予選と2回のレースを行う実践形式のエキシビションマッチが開催され、20台が参加した。
「練習から調子は良く、コンスタントにトップタイム出すことができていて、予選でも僅差でポールポジションを獲得することができました」と予選までを振り返った金丸。6日の練習走行を首位で終えると、7日に行われた予選では、1秒の中に11台がひしめく中で、2番手とは0.089秒というまさしく僅差でポールポジションをもぎ取った。
レース1では、スタートでホールショットを決めると、その後はファステストラップを刻みながらリードを拡大していった金丸。最後までレースを支配する走りを見せて、自身にとって3年ぶりとなる優勝を決めた。
「3年ぶりの優勝になりましたが、うれしいという気持ちよりも安心したという気持ちの方が強かったですね」と、この勝利を振り返った金丸。
「今季が始まって以来ずっと好調を維持してきて、ここはまずどんなレースでも1勝2勝と重ねて勝ち癖をつけていかなければと思っていたので、まずはその1勝ができてよかったです」
続いて行われたレース2は、レース1のトップ6がリバースグリッドとなりスタート。6番グリッドとなった金丸だったが、スタート直後に1コーナーアウト側から攻め込んで一気に3位まで浮上。その後さらに1台をパスし、1周目を終えた段階で2番手まで順位を上げる。3周目には首位を奪取しレースをリードしていくが、7周目になると後方からニュータイヤを履いたマシンが接近。防戦を強いられ、13周目にはオーバーテイクを許すことに。一気に2台に先行されたものの、最後は3位表彰台でレースを終えた。
「最終的にはちょっと悔しい結果となりましたが、開幕戦への良いスパイスとなりました」と今回のエキシビションレースを総括した金丸。
「予選やレースペースに対しての自信は揺るぎないものとなっていますが、今回のレースでは、まだまだ自分の中でドライビング的に詰められるところや、攻め続けながらもなるべくミスをしないレースの仕方を学んでいくという課題も見えました。開幕戦は、前回のテストで好調だったヘレスなので、無理をせず優勝を狙っていきたいと思っています」と、シリーズ開幕に向けての課題と意気込みを語った。
ユーロフォーミュラオープンは、3月12日~13日にバルセロナで開幕前最後の合同テストが実施され、4月11日~12日にヘレスで開幕戦を迎えることとなる。