PCサポーターとしてパソコントラブル解決をしていて、対応に困るトラブルランキングの上位として「プリンタとディスプレイの色味が違う」というものがあります。
画像を専門に扱うプロの方なら、これが簡単な話ではないことはご理解いただけると思いますが、普段ネットを見てちょっとプリントアウトするだけ、デジカメで撮った写真をプリントアウトしたいだけの方々から「何でもいいから、とりあえず画面と同じ色でプリントできるようにしてよ!」と言われると、困ってしまいます。(文:光明隠歌)
色の作り方の違いや機種差などが絡み合う
なぜこれが難しいのかというと、ディスプレイとプリンタでは「根本的に色の作り方が違う」からです。パソコンのディスプレイの「色」は、Rad、Green、Blueの3色の光を組み合わせて作られています。この3色の光を均等に重ねあわせると「白」という色に見えます。
逆にプリンタなど印刷物の「色」は、Cyan、Magenta、Yellow(+Black)の4色を組み合わせて作られます。Blackを除いた3色を均等に混ぜ合わせると「黒」という色に見えます。
この他に、機種差、設定の問題というものがあります。同じパソコン本体に2台のディスプレイをつなげると、同じ色のはずの部分が微妙に異なって見えることがあります。同じようなことが、ディスプレイとプリンタでの比較でも起こるので、余計に差が起こりやすくなります。
さらに、同じデータをA社のプリンタとB社のプリンタでそれぞれ出力しても、微妙に色味が異なってくるのです。このために、カラーマッチングという技術を使って、そのディスプレイおよびプリンタに合わせた設定ファイル(プロファイル)を用いて画面とプリンタの色味を一致させるということを行ったりもします。
それでも完全一致には限界があり、RGBで表現できる色範囲とCMYKで表現できる色範囲が異なります。ですので、ディスプレイではきれいな色であっても、いざ印刷するとくすんだ色として表現されることもしばし起こるのです。
「故障だ」「初期不良だ」と返品に発展するケースも
しかし、カラーマッチングとか色範囲の話とかを説明しても、一般の方にはたいていは理解してもらえません。そういうときは、プリンタで出力した色を見ながら、ディスプレイの色を合わせるという手段を用いることもあります。
お客様の要望としては、それでいいのでしょうが、そのようにして合わせた色は、別の環境で印刷した場合には違う色として出力されることになるため、「このプリンタ、色が全然違う! 前のはできたのに!」ということになるのです。
中にはこれが原因で、コールセンターに「プリンタの故障だ!」「ディスプレイの初期不良だ!」と連絡があり、説明してもご納得いただけず、結局は新品交換もしくは返品対応というケースもあったりするのです。
「(HTML書籍に印刷されている)カラーコードとは違う色味で表示されてるから、ディスプレイの故障!」と言い切る方もおられます。微妙な色の違いというものは、人によってはこだわりポイントだから難しいよねと、こういうトラブル対応時に強く思うのでした。
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