8日、WTCC世界ツーリングカー選手権の今季開幕戦がアルゼンチンのテルマス・リオ・ホンドで開催されたが、このレースでプロチームのホンダ・シビックWTCCをドライブしたドゥサン・ボルコビッチが、医師の助言に反しレースに出場していたことが明かされた。
ボルコビッチはカートからラリー等を経験し、2014年にシボレーRMLクルーズTC1を駆りWTCCにデビュー。身長は2メートル7センチで、14年の日本ラウンドは自身初、そしてセルビア人として初めての世界選手権表彰台を獲得し、その大きな体いっぱいに喜びを表現した。
今季ボルコビッチはプロチームに移籍し、ホンダ・シビックWTCCをドライブすることになったが、予想外の“トラブル”に見舞われていたという。シビックの場合バルクヘッドの構成がクルーズと異なり、ボルコビッチはその高身長ゆえにペダルボックスに足をしっかりと収めるよう調整できなかったというのだ。
ボルコビッチはほんの数周ドライブしただけで足が麻痺してくると訴え、医師はボルコビッチにレースに出場しないように勧告したというが、自己責任でレースに強行出場したとボルコビッチのマネージメントチームが明かした。
「ボルコビッチは、医師からレースに出場しないようにというアドバイスをもらっていたが、彼自身がリスクを負うとしてレースに出場することを決めた」とマネージメントチームは声明を発表している。
第1戦は11位、第2戦はスピンしリタイアという結果で終えたボルコビッチだが、ホンダは今後、頭部のスペースを確保できるようロールケージを修正する可能性があるとしているが、これは新たにクラッシュテストが求められるだけでなく、各メーカーがシーズンに一度使用できるという“ジョーカー”を切ることになってしまうという。
ボルコビッチとホンダにとっては非常に悩ましい決断を迫られることになりそうだ。