ベライゾン・インディカー・シリーズとホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)は9日、2015年からインディカーで導入されるロード/ショートオーバル用のエアロキットを初めて公開した。
インディカーでは2012年からワンメイクシャシーとしてダラーラ製のDW12シャシーが導入されたが、当初の予定では基本的なコンポーネンツはそのままに、ウイングやカウル等、空力パーツを自由に開発できる構想で生まれたシャシーだった。
その概念が具現化されるのが2015年シーズンで、インディカーにエンジンを供給するシボレー、ホンダの両社がエアロキットを開発。各エンジンマニュファクチャラーの使用チームが、それぞれのエアロキットを使用することができる。すでにシボレーは2月の段階でロード/ショートオーバル用新エアロキットを公開していた。
シボレーの新エアロキットでも目についたのは、前後ウイングにつくウイングレット、サイドポンツーン前の形状。ただ、9日に公開されたホンダの新エアロキットは、シボレーのものが比較的コンサバに見えてしまうほど、積極的にウイング形状を採用したものとなった。
この新エアロキットは、HPDがこれまでスポーツプロトタイプカーレース向けに開発してきたARXシリーズ同様、CAD、CFDをフル活用してデザインされたものだという。その後フルサイズ風洞にかけられ、各部を調整。ホンダエンジンを使用するアンドレッティ・オートスポートとHPDによって各地で6日間のテストが行われ、最終的な仕様が確定した。
「我々はこうして新たなエアロキットを公開できたことに興奮しているし、ホンダは新たな競争の時代に入ることを歓迎するよ。我々はホンダ・インディV6のパフォーマンスを証明しているが、これらのエアロキットは我々の数千時間におよぶ研究、開発、テストの成果を証明することになる」とアメリカン・ホンダ・モーター副社長で、HPD代表のアート・セント・シアーは語った。
新エアロキットで特に目を引くのはフロントウイング。近年はF1でも非常に複雑な形状のフロントウイングが採用されているが、ホンダ新エアロキットも同様に複雑な曲面を描く。翼端板周辺もさらに小さなウイングが装備され、前から見た印象はこれまでとまったく異なりそうだ。
さらに、サイドポンツーンもマシンサイドに向けて空気が流れていく部分にウイングを追加。リヤウイング左右も、シボレーがシンプルな形状なのに対し、完全にウイング形状化しており、積極的にダウンフォースを得ようという考え方が目を引く。一方で、ドラッグも非常に大きいようにも見受けられるが、実際のパフォーマンスが気になるところだ。
「我々はテストでのホンダ製新エアロキットの結果に自信をもっている。ただ、もちろん大事なのは勝利を得ることで、インディ500、そして選手権でチャンピオンを獲得することだ」とセント・シアー。
「最高の空力とエンジンのパッケージを作り上げたと確信しているよ。開幕戦セントピーターズバーグ、そしてマニュファクチャラーチャンピオンシップ争いを楽しみにしている」