トップへ

スーパーGT:好調プリウスGT、テストとブリヂストンタイヤに確実な手応え

2015年03月09日 00:30  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

スーパーGT鈴鹿メーカーテストで好調ぶりをみせたTOYOTA PRIUS apr GT
3月4日~5日に、鈴鹿サーキットで行われたスーパーGTメーカーテスト。GT500クラスの車両に混じってGT300クラスの車両が4台走行したが、終始好調だったのが、aprが走らせたTOYOTA PRIUS apr GTだった。

 2012年からGT300クラスに、市販のハイブリッドシステムを活かして投入されたトヨタ・プリウスGT。トヨタの協力を得て少しずつハイブリッドも磨きをかけられ、毎年上位を争う戦いをみせていたものの、これまでチャンピオン争いには手が届かなかった。

 迎える2015年、チームは体制を変更。嵯峨宏紀と中山雄一というコンビに加え、嵯峨がWEC世界耐久選手権に参戦する時には、佐々木孝太が代役を務めることに。さらに、プリウスにとって初めてタイヤ銘柄を変更。今季からブリヂストンタイヤを装着することになった。

 そんなプリウスは、岡山でテストをこなした後、この鈴鹿メーカーテストに臨んだ。2日間の走行で初日午前こそAudi R8 LMS ultraにトップタイムを譲ったものの、その後は終始4台の最速タイムをマークし続け、好調ぶりをみせつけた。

 テスト後、チームを率いる金曽裕人代表に2日間の印象を聞くと、好調の要因について「タイヤが大きいね」と語る。

 これまでブリヂストンをGT300で履いていたのはホンダCR-Zの2台だった。このマシンは、プリウスGTと同じミッドシップ。「CR-Zはタイヤで速かったの!? って思うくらい(笑)、良くできてる。ヨコハマさんが悪かった訳ではなく、ミッドシップのJAF-GT専用のタイヤではなかったから。それ専用に作っていたブリヂストンはやはり違いますね」と金曽代表は語る。

「最初から合っていますね。それだけでかなり違う」

 今季、プリウスGTの外観で最も変化が目立つのはリヤエンド。大きくリヤが絞り込まれている印象を受けるが、これは「リヤでダウンフォースを出そう」という狙いなのだとか。

「リヤでしっかりダウンフォースを出せば、リヤウイングの角度をつけなくても良くなる。ドラッグを減らしてGT3に対してストレートスピードを稼ぐために、1km/hでも直線を出そうと」

 そのために参考とされたのは意外なクルマ。2009年までGT500クラスで活躍したレクサスSC430のリヤエンドを参考にしたというのだ。たしかに、リヤフェンダーの形状やディフューザーの形状は非常によく似ている。

「TRDとも相談して、SC430のリヤを踏襲した形ですね。GT500でデータのあることをやった形です。リヤウイングもそう。かなり効いていますね」

 もちろん車体内側も多くの変更があるが、良質なダウンフォースを得ることでストレートを伸ばし、レース中でもFIA-GT3マシンに対して抜かれないようにしよう……という訳だ。JAF-GT車両はコーナーが速くても、ストレートで太刀打ちできずレースで不利になることが多かった。その対策なのだ。ただ、現時点ではまだFIA-GT3車両とは「差がある」という。このあたりは開幕に向けて課題と言えそう。

「あとはドライバーが若返って、初日午後は雄一、2日目午前は孝太、午後は宏紀でしょ。誰が行ってもトップタイムを出してるからね。流れがいい。今回のテストでも10時間走って、クラッシュもペナルティもトラブルもない。チームの雰囲気もいいですよ。プレッシャーだけど(笑)、雄一にチャンピオンを獲らせる流れになってる」

 ちなみに、今季のカラーリングは昨年から一新し、メタリックレッドに。どんな意図があるのだろう? これに対し金曽代表は昨年まで参戦していた「M-TEC(笑)?」と冗談めかしたが、「今年はたくさんのスポンサーの方に支えられていて、いろんな方に意見を聞くと、黒が好き、赤が好き……といろいろあって、最終的にこの色に落ち着いた」のだとか。

 取材中もピットの雰囲気は和気あいあい。嵯峨、中山も笑顔でクルマのフィーリングが良いことを物語っていた。トラブルもなく、着々とメニューをこなす様子は、コースサイドで見ていても印象的。現状はまだブリヂストンのスペックも暫定的とのことで、今後タイヤが合わせられてきた時、さらなるパフォーマンスが発揮されるのかもしれない。混戦のGT300で、常に上位を争う存在となりそうだ。