3月7日と8日の2日間にわたって行われた、「鈴鹿モータースポーツファン感謝デー2015」。「HondaF1復活祭」と題して行われた同イベントは、デイモン・ヒル、ジャン・アレジ、中嶋悟の3人による、マクラーレン・ホンダのデモランによって閉幕した。
晴天に恵まれた日曜日の鈴鹿サーキット。風は強く、そして冷たいものの、前日のような雨天ではなく、過ごしやすい1日となった。入場者数も34,000人(2日間合計57,000人)を数え、グランドスタンドを始めサーキット内各所は、大にぎわいとなった。
F1色が強かった初日に比べ、公開テストや模擬レースなどスーパーフォーミュラ関連の催しも多数行われた。小林可夢偉のスーパーフォーミュラでの走行を見ることができる機会でもあり、注目度は非常に高い。その可夢偉はスーパーフォーミュラでの初のレース形式の走行に臨んだが、可夢偉は2位でフィニッシュ。適応力の高さを示した。なお、トップでチェッカーを受けたのは、昨年のスーパーフォーミュラチャンピオン、中嶋一貴である。
さらにはジャン・アレジの息子ジュリアーノも来日し、デモランを披露。アレジと後藤久美子さんの間に生まれた子ということもあり、一般の雑誌社も取材に訪れるなど、こちらも非常に注目されていた。
また、白熱の展開となったのは、星野一義と中嶋悟による「永遠のライバル対決」。スタートで飛び出した星野が逃げ切るかと見られたが、1周目の最終コーナーでリヤを滑らせタイムロス。中嶋はそれを見逃さずにメインストレートでインを突くが、2コーナーを曲がりきれずにコースオフ。再びトップを奪った星野がそのままチェッカーを受ける。マシンこそ鈴鹿サーキットのレーシングスクールで使われるマシンだが、今までのバトルの中でも特に激しいバトルが繰り広げられた熱戦だった。
前日に引き続き、中嶋悟、鈴木亜久里、中野信治によるデモランも行われ、青空の下ティレル019がフォードDFR V8の、ローラ(ラルース)LC90とミナルディM192がランボルギーニV12の音色を、鈴鹿に響き渡らせた。
フィナーレとしては、ヒル、アレジ、中嶋が、こちらも前日に引き続きマクラーレン・ホンダをドライブ。完全なドライコンディション、そして前日ドライブしたことでの慣れも加わり、圧巻の走行でファンを魅了した。
走行終了後には、ヒル、アレジ、中嶋の3人ががっちりと抱き合い、当時はライバルとして見ていたマクラーレン・ホンダのマシンを、20年以上の時を経てドライブした喜びを分かち合った。ヒルは「日本の皆さんは、モータースポーツを本当に愛している。ホンダを応援している気持ちが本当に伝わってきました。その想いを、必ずマクラーレン・ホンダのスタッフに伝えてきます」と約束。アレジは「F1と言えばホンダと言っても過言ではない。それが、今年戻ってきます。必ずやってくれるので、応援しましょう」と呼びかけた。またアレジは、走行終了後にホンダのスタッフひとりひとりと握手を交わし、「ありがとう」と感謝の言葉を日本語で伝えて回った。
3台のマクラーレン・ホンダの走行をガレージで見守っていたのは、ホンダの新井康久F1プロジェクト総責任者である。開幕戦オーストラリアGPの前週にも関わらず鈴鹿を訪れていた新井氏は、「これだけ多くのファンが集まってくれて、素晴らしいイベントです。これから戦っていく上で、すごく力になります」と語った。
この日のイベントのタイトルとおり、1週間後にはホンダがF1復活レースを迎える。新生マクラーレン・ホンダは、いったいどんな活躍を見せてくれるのか? ステージに登壇した多くの識者が言うように、最初は苦しむこともあるかもしれない。しかし、いつか必ずやってくれると、多くのファンが信じている。それを感じさせた2日間だった。まずは3月13日に開幕、3月15日に決勝レースを迎える、F1オーストラリアGPに注目したい。