2015年03月08日 10:51 弁護士ドットコム
全国の自治体の3割にあたる544市区町村が、税金の「還付金」の計算を間違っていたことが、読売新聞の調査でわかった。全国で約15億円分の誤差があったという。
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税金を返還する「還付金」には、還付加算金という利息が付く。今回はこの還付加算金の算定にミスがあったのだというが、どんな間違いがあったのだろうか。野口五丈税理士に聞いた。
「自治体の住民税額は、所得税と連動して決まります。そのため、もし所得税が後から更正されて少なくなれば、住民税も減額され、還付金が生じることがあります。
今回の算定ミスは、給与所得者の還付加算金を計算する際に、起算日(数え始める日)を間違えていたことが原因です。
本来、給与所得者の還付加算金を計算する際には『税金の納付または納入があった日の翌日』を起算日とすべきです。
ところが、一部の自治体では、適用ルールを間違って、『所得税の更正の通知がされた日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日』を起算日としていました。
このため、金額に違いが生じてしまったのです」
つまり、実際に税金を納めた後で、所得税の更正通知があった場合、その期間にもらえるはずだった還付加算金が、少なく計算されてしまっていたわけだ。
還付加算金の額は、個人でも計算できるのだろうか?
「難しいと思う方も多いかもしれませんが、還付加算金は、以下の計算式で算定することができます。
還付加算金=(納付済額―正当額)×1.9%×加算日数/365日
この1.9%という率は、2014年1月1日から2014年12月31日までの期間についてです。
なお、全国の自治体はすでに計算ミスに気づいており、対象者に連絡すると説明しているようですから、個人が検算をして役所に報告する必要はなさそうです」
野口税理士はこのように述べていた。
【取材協力税理士】
野口 五丈(のぐち・いつたけ)税理士
ご紹介文:スタートアップ・ベンチャー企業の支援に特化した会計事務所。会社と共に成長することをモットーとし、節税だけでなく、クラウド会計支援やベンチャーキャピタルからの資金調達、補助金申請支援(創業補助金、ものづくり補助金)を強みとする。支援実績多数。
事務所名:野口五丈公認会計士事務所
事務所URL: http://itsutake.com/
(弁護士ドットコムニュース)