鈴鹿サーキットで開催されているモータースポーツファン感謝デーの中で、星野一義と中嶋悟によるエキシビションマッチ『第6回 永遠のライバル対決』が行われたが、小雨の中で実施された初日の戦いは"ある意味”大波乱の展開となった。
2012年のモータースポーツファン感謝デーの中で、実に26年ぶりに"直接対決”を繰り広げた星野と中嶋は、その後も鈴鹿でのイベントで立て続けに勝負を行い、今回の対決が第6ラウンド。これまでの戦績は中嶋が3勝、星野が2勝、そして引き分けが3回となっており、昨年の勝負では中嶋がチャンピオンベルトを持ち帰っていた。
今回は、2013年までFCJで使用されていたほか、中嶋が校長を務めるSRS-Fで現在も使用されているエントリーフォーミュラ『FC106』での勝負。完全イコールコンディションでのバトルに注目が集まった。
悪天候のために開始時間が変更となり、15時40分から始まったふたりの対決。小雨のぱらつく中、星野、そしてチャンピオンベルトを締めた中嶋がファンの声援に応えながら登場。中嶋のチャンピオンベルト返還後、まずはMC/実況のピエール北川アナウンサーとともにトークに臨んだ。
ただ、ヒジョーにリラックスしたムードのレジェンドふたりは、星野が「もうオレの1位で決めちゃおう!」、「(勝敗は)さっきもう決めてるんだよ。1万円払って談合で決めてるから(笑)」と、言いたい放題。ピエール北川アナウンサーから“雨の中嶋”と水を向けられた中嶋も「雨は危ない。怖いよ(笑)。(直前のプログラムでドライブした)マクラーレンの時も本当によく滑ったんだよ」と本音トーク。軽妙なトークで知られるピエール北川アナウンサーも「進めづらいなぁ(苦笑)」とタジタジになっていた。
それでもなんとかイベントは進み、じゃんけんの結果、中嶋がポールポジションを獲得。完全イコールコンディションとなるFC106にふたりが乗り込みウエット路面のもとでスタートを迎えた。
そんな中、カウントダウン音が鳴り始めた直後に動き出す超反則スタートをブチかましたのは、なんと"元祖・日本一速い男”星野! 中嶋もすぐに追いかけるが、最初に開いた圧倒的な差を埋めることはできず、最後まで星野が大きくリードしてチェッカーを受けた。
グランドスタンド前に戻ってきた星野は、「最初からフライングしてやろうと思ってたんだよ(笑)」と、昨日から寝ないで考えてきた(本人談)という作戦を披露。一方、続いてスタンド前に戻ってきた中嶋は、星野の反則よりもまず「オレ、スピンした」と告白。カメラでは映らなかった東コース入口で回ってしまったという中嶋だが、「クルマを傷つけずに帰ってきたオレは偉いよね」と笑った。
勝敗に関しては、ピエール北川アナウンサーが星野へのペナルティも検討していたが、「中嶋は歳いくつ? オレのほうが年上じゃん。ゴルフだってハンデあるでしょ?」と星野がゴネまくり、スタンドに集まったファンの拍手の量で勝者を決めることに。僅差で星野が上回り、星野が初日の勝利をまさしく”もぎとった”。
ふたりの勝負はファン感2日目も行われるが、次の戦いで中嶋が勝って1勝1敗になった場合は、昨年までとは異なり更にもう1レースを行って決着をつける予定。今年はどちらがチャンピオンベルトを持ち帰ることになるのか、その決着にも注目だが、せっかくのイコールコンディションでのバトルなだけに、明日はふたりのクリーンな腕比べにも期待したいところだ。