大相撲春場所が、2015年3月8日から大阪・ボディーメーカーコロシアムで始まる。力士たちは士気を高めているころだが、取組とは別の悩みを深めている若手力士がいるようだ。
西前頭12枚目の琴勇輝(23)は、最後の仕切り前で気合を入れるために「ホゥッ」と発声するのが恒例だ。これを観客も知っていて、場内では歓声があがる。しかし日刊スポーツなどによると、同じく「ホッ!」と咳払いする東前頭12枚目の千代鳳(22)とともに、2月24日の力士会で横綱・白鵬(29)からこう厳命されたという。
「犬じゃないんだから、ほえるな! やめろよ! いいな!」
琴勇輝の発声理由は「力がMAXに出るから」
琴勇輝はこの「発声」を、序二段時代からすでに6年以上も続けている。2014年9月に出演した「ジャンクSPORTS」(フジテレビ系)では、司会の浜田雅功さんにその理由を聞かれ、こうこだわりを見せていた。
「立ち会いの前に声を出すと力がMAXに出る。他の人がやっていないことをやりたい」
力士も人気商売であるから、取組前のクセや所作も注目されることが多い。元関脇・水戸泉は大量の塩撒きで人気を博したし、元小結・高見盛の「ロボコップ」のような気合入れも記憶に新しい。
とはいえ白鵬からすれば、集中を妨げるとしか思えなかったのかもしれない。しかし、ツイッターなどには横綱の言動に批判があがっている。
「白鵬はそんなつまんないことに目くじらを立てることはないと思うけどなぁ。横綱の器が小さい」
「ルールで禁止されていないことを、横綱が禁止できるの?しかも6年も容認されてて」
「いきなり名指しで恐怖感を植え付け萎縮させるような強い物言いするなんて、横綱の地位を借りたパワハラじゃん」
千代鳳との取組から「ホウッ」「ホッ!」消えるのか
2015年の初場所で、史上最多33度目の優勝を果たした白鵬に対しては、「大横綱」と称賛する声があがる。一方で、あまりの強さに「日本人もしっかりしろ」「そろそろ日本人横綱を」といった期待も高まっている。
そんな周囲の雑音を、白鵬は不快に受け止めているのかもしれない。奇妙なクセで観客を沸かせるヒマがあったら「相撲で強くなれよ!」とイライラを抱いている可能性もある。
ただし白鵬自身に対しても、「自分の所作はどうでもいいのか?」といぶかる声もある。確かに取組後の懸賞金を勢いよくひったくるような仕草が問題視されたり、2015 年初場所では受け取った懸賞金の束を高々と掲げるなど、その素行が問題視されている。
さらに初場所後は「審判部批判」を展開し、テレビ番組での謝罪に追い込まれるなど、すっかり「ヒール」と化してしまったような感じだ。
琴勇輝は春場所でも発声を続けるかどうか結論を出していないというが、初日の取組には、なんと同じく白鵬に注意された千代鳳戦が組まれてしまった。
初場所の琴勇輝・千代鳳戦では、それぞれが「ホウッ」「ホッ!」と発声し、場内が湧いた。ネットで「続けていいよ!」「ぜひやってほしい」と声があがっているとおり、若手力士が「横綱の威圧」に負けず個性を発揮できるか、注目である。
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