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片山右京、3/14開催のフォーミュラE第5戦マイアミePrixを語る

2015年03月06日 12:10  AUTOSPORT web

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フォーミュラE第5戦マイアミePrixのコース図
昨年9月から開幕した、フォーミュラEの第1シーズン。3月14日(土)には第5戦となるマイアミePrixが行われ、BS朝日で決勝の模様が生中継される。

 テレビ朝日のフォーミュラE中継で解説を務める片山右京が、ここまでのシーズンを振り返り、第5戦の見所について語った。

——(第4戦を振り返って)これまでのレースの中で最も順位変動が目まぐるしいレースでしたね?

「トップが次々と入れ替わるので、解説してる方は何が起きたか忘れてしまうほどでしたね」

——その中でアムリン・アグリのアントニオ・ダ・コスタ選手が優勝しました。勝因はズバリどこでしょうか?

「ゴールまで“たどり着いた…”ということですね。(笑)2位のニコラス・プロスト選手(eダムス・ルノー)も激しいバトルの中でアクシデントを避けゴールしたし、ダ・コスタ選手に関しても同じように誰よりも手堅いレースをしたということではないでしょうか」

——この1戦から、今後勝つための「戦略」も変わってくるのでしょうか?

「セッティングやバッテリーの使い方などは、各チームがだいぶ分かってきていると思います。その他に気温などからくるパフォーマンスの違い、シケインなど縁石の使い方が重要になってくるでしょう。つまり、マシンを改良するよりも、走り方や戦略で差をつけなければならない。トップを走っていても、一瞬のミスで優勝はおろかチャンピオンシップも失うかもしれないので、より気をつけなければいけないですからね。今後は、戦法やメンタルコントロールが重要です」

——第5戦は、マイアミに舞台を移しますが、コース図を見てどう思いますか?

「昔からアメリカのレースには、90度といった直角のコーナーが多いんですが、マイアミも似たようなコースレイアウトです。大きな特徴は、ロングストレートがあり、オーバーテイクはできること。しかし、コーナーが8つしかなく、その部分では、ドライバーが仮にミスをしてもロスタイムが少ないでしょう。逆に言うと、タイムがものすごく接近すると思うので、小さなミスでも予選のグリットポジションを落としてしまうし、本来速いマシンでも、ドライバーのミスで後方に沈んでしまう。その影響で、ドライバーがストレスを感じたり、ジレンマが生じたりと、バトルが激しくなるでしょうね。

 こういったコーナーがあるサーキットは、セッティングよりもドライバーのセンスが試され、中速コーナーを高速コーナーのように走ることもできてしまう。ドライバーの技量次第なんですよね。

 90度コーナーというのは、意外と奥が深いんですよ。突っ込み過ぎて少しでもブレーキングが乱れて出口が遅くなれば、その後に続くロングストレートで順位を落としてしまう。だから、我慢しなければならない直角コーナーもあれば、タイムを稼ぐように頑張って攻めなければならない直角コーナーもある。同じ90度でも違いがあるんです。なおかつ市街地コースにある直角コーナーは、ほぼブラインド(先が見えない)なので、勇気も試される。このようにひと言で言っても“直角コーナーは面白い”んですよ」

——フォーミュラEのように後ろの方が重い車体だからこそ、直角コーナーが難しかったりするんでしょうか?

「フォーミュラEの場合は車体重量が896kgと重いので、当然影響はありますよね。その重さがタイヤのグリップを越えた後、慣性がかかってからが勝負のような状態になります。それをセッティングによって抑え込んで、オーバーステアが出ないようにするのか、曲がりやすくするのか、ドライバーとチームが90度のコーナーに合わせたセッティングをどう決められるかにかかってきます。まさに、チーム力や、ドライバーの力量が試されますね」

——マイアミが5戦目ということで、いよいよシーズンは後半戦に入ってきます。(4戦目終了時からの)この1ヵ月、各チームはどのような対応をしているのですか?

「データの見直しなど、チームはブラッシュアップができると思います。しかし、ドライバーはレースを連続で続けた方が、車の感触が残るので本来なら空かない方がいい。しかし、休み明けにどんなチームやドライバーがレースを見直して組み立ててくるかっていうところでは、かなり興味がありますよね。マイアミはコーナーが狭いので、戦いとしてはレースマネージメントしやすいと思うんですが、フォーミュラEの場合はセーフティカーが入って、エネルギーがセーブされた途端に、セーブされた分の余力が全てバトルに注がれる。結果、レースが予想以上にヒートアップして、展開の予測が全くつかないですよね」

——ここまで、前半4レースが終了しました。改めてフォーミュラEの面白さを教えていただけますか?

「最初は、世界中が注目する未来の大きなテーマでもある“エコ”という、環境にやさしいことが開発のテーマだったと思うんです。その中で、バッテリーのエネルギースケジュールが重要視されていたので、耐久力が求められるスローペースの“我慢のレース”だと予想していたわけです。しかし、いざふたを開けてみれば、開幕戦から激しいバトルで大きなアクシデントもあったり。さらに第4戦のように、セーフティーカーが入ってエネルギーが余った途端に、ゴングが鳴ったかのようなとんでもない激しいバトルが起きるという……他のカテゴリーでは無い、制御不能の激しいレースとしては、ナンバー1じゃないですかね」

——“セーフティカー”もひとつの見どころになりますね?

「世界中でテレビを見ている人が、『あっ!セーフティカー入った。さあエネルギーが余った。いよいよ始まるぞ!』っていうのが、分かってますからね。レースにふたつの顔があって、面白いですよね。ひとつは、レース前半のエネルギーを上手に使って走らなければならない高度な(戦略的な)レースと、もうひとつは、まるでモータースポーツの原点のような、ドライバーのプライドを賭けた『とにかく勝つんだ』という意地と意地のぶつかり合いといった激しいレース。“セーフティカー”によって、フォーミュラEの新しい特徴が見えましたね」

——初優勝したアムリン・アグリのダ・コスタ選手。当初から比べて、タイムが上がってきたと思うんですが、今後“アムリン・アグリの逆襲”のようなことは期待できるのでしょうか?

「アムリン・アグリ自体、開幕戦は、他のチームに比べて“テストの量”が明らかに少なかった。しかし、3~4戦目になってデータも取れてきて、乱戦に強いダ・コスタ選手の力もあって、優勝がまぐれとは言われないくらいの力がチームについてきた。でもそれ以上に(鈴木)亜久里さんは運がイイので、やっぱり持ってるのかもしれないですね(笑)」

■フォーミュラE第5戦 マイアミePrix テレビ放送スケジュール
3月14日(土)
テスト走行:よる11時15分(CSテレ朝チャンネル2)
予選:深夜0時45分(CSテレ朝チャンネル2)
決勝:あさ(3月15日)4時30分(BS朝日)

(提供:テレビ朝日/編集:オートスポーツweb)