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【名作映像案内】第18回 戦後70周年特別企画・戦艦武蔵の沈没

2015年03月04日 17:11  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

【名作映像案内】第18回 戦後70周年特別企画・戦艦武蔵の沈没

 フィリピン海底で、戦艦武蔵が発見されたというニュースが3月3日に伝えられました。


【元の記事はこちら】


 このことに因み、本稿では、武蔵の沈没を描いたテレビアニメ『アニメンタリー 決断』(タツノコプロ制作、昭和46年放送)第21話「レイテ沖海戦(前編)」を取り上げたいと思います。


 レイテ沖海戦は昭和19年10月23日に始まった海戦で、武蔵が沈没した戦いです。この戦いを一言で言うと次のような海戦です。


”空母瑞鶴、千歳、千代田、瑞鳳、航空戦艦伊勢、日向がフィリピン北東で囮になって米軍の空母を引き付け、その隙に武蔵を含む艦隊がレイテ湾に突入して米軍の上陸部隊・輸送船団を砲撃しようとした戦い”


 実際の日本艦隊はレイテ湾に突入せずに反転してしまいました。そして武蔵は道中に撃沈されています。


 ところで、日本側の4空母は囮の任務を果たすため迷彩色に塗られました。そのため、ブラウザゲーム『艦隊これくしょん ~艦これ~』でも上記4空母の衣服が迷彩色になっています。


 また、2013年11月に台風の被害を受けたフィリピンを救援するため、航空戦艦伊勢と同名の海上自衛隊の護衛艦いせがレイテ沖に向かったのも記憶に新しいところです(尚、レイテ沖海戦時に航空戦艦伊勢がいたのは前述の通りフィリピンの北東です)。


 では本題です。『アニメンタリー 決断』第21話を見ていきましょう。
 劇中、武蔵乗組員は不吉な会話を交わします。曰く、艦長が4代目で副長が2代目なので「死に」だと言うんです。一方、武蔵乗組員は、武蔵は不沈戦艦だとも言います。
 続いて、米軍の空母から発進した航空隊が武蔵に襲いかかります。武蔵は46サンチ砲(海軍はセンチをサンチと言います)を発射しますが、あまりの衝撃の強さに乗組員はひっくり返ってしまうのでした。
 米軍の攻撃を喰らっても、なかなか武蔵は沈みません。流石、乗組員から不沈戦艦と称えられているだけのことはあります。
 しかし激しい米軍の攻撃に、武蔵乗組員は次々と戦死していきます。そんな中、生存している乗組員が、亡くなった乗組員のためにおにぎりを作って供え、合掌する場面があるのですが、この場面が泣けるんですよ。
 そして『アニメンタリー 決断』第21話のハイライトは、機銃を指揮していた大尉が、或る決断を下す場面です。この大尉は、もはや武蔵の沈没は避けられないと判断し、退艦命令がまだ出ていない中、自らの判断で部下を武蔵から脱出させます。そして大尉は艦長に独断で部下を脱出させたことを報告すると、艦長は大尉の判断を褒め、礼を言うのでありました……。
 『アニメンタリー 決断』第21話は、ナレーターが、米軍の攻撃を引きつけようとした艦長の決断と、部下を脱出させた大尉の決断が今に伝えられていると語り、幕を閉じるのでありました。


 武蔵が沈没した時の戦死者は、乗組員約2400人中、約1000人だったそうです……。太平洋戦争の戦歿者に謹んで哀悼の意を表し、本稿を終わります。


(文:コートク)