アメリカのコロラド州で開催される伝統のヒルクライムイベント、『パイクスピーク・インターナショナルヒルクライム』の2015年のエントリーリストが2日発表された。四輪では73台がエントリーしているが、日本からは田嶋伸博と、3度のスーパーGT300クラスチャンピオンである山野哲也が挑戦することになった。
パイクスピーク・インターナショナルヒルクライムは、コロラド州パイクスピークを舞台に1916年から開催されている伝統のヒルクライムで、2013年にはセバスチャン・ローブがプジョー208T16を投入するなど、過去にはWRC世界ラリー選手権で活躍したドライバーやマシンが参戦しており、世界的に有名なイベントだ。
93回目となるパイクスピークの2015年のイベントは7月28日にレースデーを迎えることになるが、四輪では73台が参戦する。近年は電気自動車のエントリーも増えており、“モンスター”の異名で現地でもお馴染みの存在として知られる田嶋伸博は、今季もEランナー・コンセプト1で参戦する。
一方、初めてエントリーにその名を連ねたのは、スーパーGT300クラスで2004年~06年に前人未踏の3年連続チャンピオンを獲得、全日本ジムカーナでも無類の強さをみせてきた山野哲也だ。山野は、2013年限りでスーパーGTを“勇退”。ただドライバーとして引退した訳ではなく、今回のパイクス挑戦は新たなチャレンジになる。
「パイクスピークを走るのはもちろん初めてです。(昨年走った)増岡浩さんや田嶋さんのオンボード映像を見たりして勉強しています。かなりリスキーですよね」と山野。
「今はエレクトリックカーでも200km/hを超えるらしくて、かなりのスピードになると思います。実験的な挑戦になるので、すごく楽しみです」
そんな山野がドライブするマシンについては、これまで聞いたことがない車名がリストに記載されている。ホンダはアメリカン・ホンダ・モーター主体で、長年NSX等でパイクスピークに挑戦しているが、今回山野とともにエントリーリストに記載された名は『ホンダ・エレクトリックSH-AWD・ウィズ・プレシジョン・オールホイールステア』というものだ。
名から察するに、電気モーターを駆動とする車両であることが分かる。また、SH-AWDは『スーパーハンドリング・オールホイールドライブ』の略で、ホンダが得意とする駆動を自在にコントロールする四駆機構だ。
『プレシジョン』は“正確な”を意味する単語だが、さらにオールホイールステアという単語が加わる。関係者の話によれば、非常に意欲的なトライがされるとのことで、車両自体は市販車の未来の技術に繋がるものだという。決してレースに勝つことが目的ではなく、技術開発の一環と言われているところが興味深い。
山野は近年スバルの印象も強かったが、もともとホンダの社員出身であり、M-TECのテストドライバーやドライビングのコーチング等、ホンダとの関わりも強い。ひさびさのモータースポーツのフィールドでのホンダ&山野の挑戦は、クルマ好きにはワクワクする挑戦になりそうだ。