ディー・エヌ・エーは2月26日、同じ会社の社員同士が匿名でやりとりすることができるiPhoneアプリ、「Flat(フラット)」をリリースした。
同アプリは、社員だけが入ることができる「ルーム」を会社ごとに用意。自分が誰かを明かすことなく、他の社員とコミュニケーションを取ることができる。社員であることを確認するため、会社のメールアドレスを使って登録認証する仕組みになっている。
ミクシィやグリーの社員と「ラウンジ」で交流することも
ルーム内では、他のユーザーにちょっとした相談事を投げかけたり、アンケートを取ったりすることができる。新入社員が社内規程や福利厚生について先輩社員に尋ねたり、「今こんな部署にいるんですけど、行けるとしたらどんな部署がありますか」とキャリアについて相談したり、といった使い方ができるという。
同社の広報担当者は、開発の経緯についてこう語る。
「やっぱり会社の中でも、給料のこととかは同僚にも聞きづらい。そういうことを匿名で聞くことができる場があれば、というのがきっかけです」
社内SNSなどを使って実名でやりとりするのは疲れる、という人も多いといい、匿名で気軽に利用できるのがポイントのようだ。
同社ではすでに約700人の社員の半数が登録している。「ランチはどこで食べてる?」「この時間帯はトイレが混むよね」といった他愛のない話題が多い。総務担当者もやりとりを見ており、社内環境の改善の参考にしている、ということだ。
また同アプリでは、他社の社員と交流することができる「ラウンジ」も用意されている。自分の名前は匿名で、会社名だけが表示される仕組みだ。
ディー・エヌ・エーとミクシィ、グリーの社員が集まって、「こういうサービスを出したのですが、盛り上げるにはどうすればいいでしょうか?」といった議論をすることもあるという。競合他社の社員ともオープンで、アプリの名前の通り「フラット」なやりとりがなされているようだ。
書き込みの内容は運営者も見ることができない
しかし匿名でやりとりをすると、罵り合いによって場が荒れたり、誰か個人を誹謗中傷する内容が書き込まれたりして「炎上」するのではないか、という懸念もある。
こうした問題に対応するために、同アプリは不快な書き込みを通報する「クレーム機能」を設置した。通報が一定数に達すると書き込みを自動で削除する。
「ユーザーに対しても、前向きな内容を投稿するよう最初に説明しています。ポジティブな投稿をしたくなるように、デザイン面もポップで明るいものにしました」
ただ、匿名でやりとりするとは言え、他社が運営するサービスに会社の内情を書き込むことには抵抗がある、という人も多いだろう。こうした見方に対しては、
「ラウンジの内容は他社の人も見ることができますが、ルームに書き込まれたものは運営者も見ることができない仕組みになっています。書き込みの削除も自動でやるので、内容が外に漏れることはありません」
と説明していた。
リリース以来、ユーザー数は着々と伸びており、すでに数十社が利用。人数の多い大企業が中心で、インターネット関連企業が多いとのことだ。ネットでも話題になっており、「これはいいと思う。周りの顔色うかがって発言する大人多過ぎ」「でかい会社なら楽しそう」といった声が出ていた。
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