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くじ引きと占いで志望企業決める「ベツルート」が焼肉採用 内定第1号は「姓名判断」が決め手

2015年02月27日 18:40  キャリコネニュース

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運と偶然に身を任せ、くじ引きと占いでマッチングを行う就職サービス「ベツルート」のプレイベント「焼肉採用」が2月24日、東京・渋谷の焼肉店で開催された。

今回のイベントは、2016年卒向けサービスのスタート前実験として、2015年卒の学生を対象に実施。「くじ引き」と「占い」で引き合わされた学生と企業担当者が一緒のテーブルで焼肉を食べる、という趣旨で38人の学生と11の企業が集まった

ガチャガチャと「ことだま伝道師」が志望企業を決定

リクルートなどが運営する大手ナビサイトを使った就活スタイルとは別の方法、という意味で名付けられた「ベツルート」。「NEET株式会社」や「ゆるい就職」などを手がけてきた慶応義塾大学特任教授の若新雄純氏が企画した。

まず参加者は、4つの項目の中から仕事をする上で「やりたくないこと」を選択。選択肢は「営業」「単純作業」「満員電車での通勤」と「働きたくない」だ。

次に、選択した「やりたくないこと」を受け入れてくれる会社の中から、同じテーブルで焼肉を食べる会社を、ガチャガチャを使ってランダムに決定していく。そこで特別なカプセルを引いた10人ほどの参加者は、プロ占い師による鑑定を受けることができる。

今回は、占いを「ことだま伝道師」として活動している水蓮さんが担当。独自の理論に基づいた姓名判断によって、次々と参加者を会社に割り振っていく。

「かおりさんは、とても愛情深い方ですね。はっきりものを言いそうで、実は内弁慶なので、そういうことを分かってくれる社長さんがいいです」
「こうたさんは、めっちゃ頑張りやさん。自分に似ている社長さんと、真逆の社長さん、どちらにしましょうか?」

就職サービスとしてはかなり奇妙な光景であるが、学生たちは一体なぜ参加しようと思ったか。都内国立大学4年の女子学生はキャリコネニュースの取材に対し、「内定はあるけどブラック企業っぽい。ここでいい企業に出会えればと思った」と語る。

東大や一橋、早慶の学生もこぞって参加

イベント開催をツイッターで知り、「占いもあるから面白そう」と興味を持った人が多いようだ。「占いとタダメシが目的です」と、就活そっちのけの女子学生もいた。

現場を見学していた人材業界関係者は「やっぱり占いは女子の食い付きがいいですね」と語る。参加者の男女比率は丁度半々だったが、「マイナーな就職サービスにしては女子率が非常に高い。しかも某サイバーなんとか社にいてもおかしくないくらいのキラキラ系も少なくない」と分析する。

高学歴で、すでに内定持ちの参加者が多いのも特徴だ。運営するアドヴァンテージ社によると、今回は東大や一橋、東工大、早慶などの上位校の学生が多数参加したという。

参加企業は、中小ベンチャーが中心だ。横浜のIT企業の担当者は「例年新卒採用をしているが、内定を出しても結局大手に取られてしまい、なかなか難しい」と語る。今回は興味半分で参加してみたが、思わぬ収穫があった。

「くじ引きで席が一緒になっただけなのに、学生が会社に興味を持ってくれた。会社訪問をしたいという学生も2人いました」

占いで席が一緒になった女子学生に、開始早々内定を出した企業もあった。プリント基板の設計・製造を行っているアレイ(横浜市)の堀部基至代表は「普段占いは信じないのですが、彼女の雰囲気を見て、『うちの会社にいても違和感ないな』と思った」と話す。

女子学生の方も、たまたま同じテーブルになった堀部代表の話を聞き、同社の業務内容に興味を持った。これが初の内定だといい、卒業前に就職先が決まったことを喜んでいる様子だった。

若新氏「就活特有の無機質な感じがなかった」

常識外れの企画だが、若新氏は「ネット上でベツルートが話題になってから、ポジティブな反応しかなかった」と胸を張る。今回のイベントの結果にも満足しているようで、

「占いやくじ引きがいいマッチングなのかは分かりませんが、少なくとも就活特有の無機質な感じはなかった。みんな自然体で仲良くなることができたので、健全でいい空間を生み出すことができたのではないかと思います」

と話していた。また、アドヴァンテージ社によると今回、定員30人のところに200人の応募があったことを受け、「焼肉採用」の追加開催を決定。3月9日には渋谷で、3月19日には大阪で同様のイベントを実施するということだ。

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