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「親の価値観」に染まった就活生は不幸になる 高望みして大手を落ち続ける人も

2015年02月27日 17:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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最近の若者に対しては様々な評価がありますが、基本的に素直で従順な印象を受けます。ただ、そのウラには自分の考え方を強く持たず、周囲の意見に流されやすい傾向も感じられます。特に、親の意見に大きく左右される学生の多さには驚かされます。

就職課の大学職員からも、学生の就活に親が介入してくることが多いとお困りの話を聞いたことがあります。残念ながらその大学は、地元でも「名前さえ書けば受かる」と評判が立つような大学です。(文:河合浩司)

「大学さえ出れば楽勝」は終わっている

その大学は当然ながら企業からの人気もなく、大手など好条件の求人も来ません。したがって学生たちも就職先に苦労していましたが、就職課には実態を知らない親御さんからの厳しいクレームが来るのだそうです。

「せっかく4年生大学にまで行かせてるのに、どうしてうちの子は就職できないんですか? お宅はいったいどういう教育をしているのですか!」

確かに親御さんの世代であれば、大学さえ出ていれば就職が楽勝な時期もあったのでしょう。中にはご自分は大学に通わず、悔しい思いをされた方もおられるのかもしれませんが。

しかし時代は大きく変わってきています。そのことに気づかない親御さんを持つ就活生は、本当に大変です。高望みをして大手を最優先して受け続けざるをえず、何度も落とされる経験を強いられることになるからです。

実際に、中小企業を受けようとすると家でも責められるので「上場企業しか受けていません」という就活生にお会いしたこともありますが、気の毒でなりませんでした。

また、親が子の芽を摘んでいるのではないかという場面に遭遇することもありました。数年前に、就活支援の勉強会を運営する学生団体と知り合ったとき、メンバーの1人に優秀な学生さんがおられました。

当初は「うちの会社に来てくれないかなぁ」と思ったのですが、彼のやりたい仕事が全く違う分野だったので、知り合いの経営者に紹介することにしたのです。

「いまの失敗は親のせい」と考えれば軌道修正は難しい

初めは採用の話ではなかったのですが、話がとんとん拍子に進み、予期せぬ内定となりました。私は「惜しいことをしたかなぁ」と思いつつも、彼の希望と一致した会社での活躍を期待していました。しかし後日、彼は内定を辞退せざるをえなくなったのです。

「そんな聞いたこともないような会社に入るなんて…。大学まで行かせたんだから、もっといいところに行きなさい」

そう親御さんが反対したのが理由です。親の人生ではないのですから、自分の意志を貫いたらどうか、という話もしたのですが…。

結局、彼は親の言うとおりに就活をし、大手銀行に就職しました。どちらの選択が正しいのかはまだまだ分かりませんが、将来彼が後悔しないことだけを切願するばかりです。

自分の頭で十分考えずに流されたまま、もしも後悔する結果になったとき、「いまの失敗は親のせいだ」などと他人に責任転嫁をすることになるでしょう。

そうすると、外部環境が変化する中で自分の力で軌道修正ができなくなり、最終的には不幸になってしまう可能性が高くなります。

決して親の言うことを聞くなと言いたいのではありません。しかし自分の人生は、自分自身のものです。他人のアドバイスを参考にしながらも、最後は自分で決めるべきだということを忘れないでもらいたいものです。

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