「就活解禁」が間近に迫る2月25日、2ちゃんねるに「サラリーマン川柳があるならニート川柳があってもいいじゃん?」というスレッドが立った。
毎年恒例の「サラリーマン川柳」は、会社勤めをする中年男性が会社や家庭で味わう悲哀を描いたものだが、会社勤めが叶わなかったニートたちにも別の悲哀があるようだ。書き込みから、彼らの日常を探ってみた。
「ブラックに たましい吸われ 鬱病に」なった人も
ニートとは通学や就業、家事を行っていない「若年無業者」と定義される。ニート生活を始めるきっかけは、卒業後の就職活動がうまくいかなかったことで、そのまま無職生活が続いてしまったようだ。卒業時の景気にも大きく左右されたことだろう。
「就活を やめたその日で 時止まる」
「あこがれた バラ色人生 ムショクかな」
いちどは会社勤めをしてみたものの、どうしても肌に合わず辞めてしまった人もいる。辞めた理由には、勤務先に問題があったケースもあるのかもしれない。
「働くと 会社に損害 クビになる」
「ブラックに たましい吸われ 鬱病に」
「笑われる 事が怖くて 働けぬ」
部屋にこもると生活サイクルは昼夜逆転し、家族との交流も少なくなる。最初のうちは「何とかしなさい」と叱咤していた家族も、次第に諦めて干渉しなくなる。
「太陽の 起床とともに 床につく」
「母叫ぶ 父は見放す 息子かな」
「父起きる 弟起きる 私寝る」
「母パート 妹デート 俺ニート」
このままではマズイと思いながらも、現状を脱却する具体的な手がかりがつかめないまま悶々とした日々が続く。甘いと言えばそれまでだが、本人もツライ状況に違いない。
「明日から ああ明日から 明日から」
「いつまでも やる気スイッチ 見つからない」
「大丈夫 まだ大丈夫 大丈夫」
「いい加減 気付けよぉ前 アウトだぞ」
快適な実家暮らしがやめられず「親よりも 親の寿命を 心配す」
意を決して外に出ると、近所の人たちのまなざしが突き刺さる。時には警察官から不審者扱いをされることも。ハローワークで希望の仕事を探すが、職歴に空白期間が長かったり年齢がオーバーしていたりして就職が叶わない。
「求人を 眺めて満足 電話せず」
「どこ行くの ちょっといいかな 職質です」
「近所の目 ここまでくると 気持ちよく」
「空をみて 1日終わる 今日もかな」
現実の厳しさに疲れて再び部屋に帰ると、バーチャル空間が温かく迎えてくれる。ただネットゲームでは他の会社員プレイヤーの手前、仕事に行く振りをすることもある。
「寝て起きて やることないから また眠る」
「金稼ぎ ゲームの中なら 任せてよ」
「ネトゲでは 仕事行くフリ ログアウト」
親には悪いと思いながらも、実家の快適な暮らしから抜け出せない。「職無しが 今日も夢見る 専業主夫」と、つい逃避的な妄想も膨らむ。
「穀潰し 今日も愉快に 暇潰し」
「親にしか 迷惑かけぬ 生き方だ」
「母の小言 佐村河内より 聞こえない」
「親よりも 親の寿命を 心配す」
理想を高く掲げすぎたという思いから、「ありのまま 生きた結果が こんな様(ざま)」と自嘲する人もいるが、現実は「ちょっとまて ニートは急に 動けない」。不安に苛まれながらも、「不安過ぎ 夜も寝られず 昼眠る」日々が続くようだ。
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