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地下鉄サリン事件被害者がオウム真理教に迫る記録映画『一枚の写真』、製作資金を募集

2015年02月26日 20:40  CINRA.NET

CINRA.NET

左から荒木浩(アレフ広報部長)、さかはらあつし監督 by Noriaki Matsui
ドキュメンタリー映画『一枚の写真』の資金募集プロジェクトが、クラウドファンディングサイトMotionGalleryで公開されている。

1995年にオウム真理教が起こした地下鉄サリン事件被害者のさかはらあつしが監督を務める同作は、さかはらが元オウム真理教として知られる宗教団体アレフの広報部長を務める荒木浩の人生を追い、オウムの真実に迫るというもの。さかはらは事件の後遺症と戦いながら同作を手掛けており、荒木は「どうしてオウム真理教に入ったのか、サリン事件以降もどうしてアレフにいるのか」などの質問に答える用意もあると語っているという。

また、同作は地下鉄サリン事件のあった3月20日にクランクアップを予定しており、さかはらは、その日にニコニコ動画の生放送に出演するとのこと。同放送には、荒木の出演も打診されているという。さらに、1月16日から行われている最後のオウム逃亡犯、高橋克也の公判の様子も、さかはらのブロマガで発信される。なお、同作の公開は2016年3月を予定している。

■さかはらあつし監督のコメント
私なりの「オウム真理教の問題」の解題は、人間と言うのは孤独であり、大いなる事件や不安に遭遇すると、余程、強い個人でなければ、自分を包み込み、説明してくれる「大いなる物語」を必要とするということです。背景には資本主義と情報化社会、社会の不可知論化があるように思います。
この問題をある人物の個人史として、深堀し、理解しておくことが必要であり、それができなければ、将来に渡り、「何かをきっかけに誤った道を信じ、社会を否定し、邪教に出家したものが、社会に戻る」と言う物語を描けないのではないかと思います。
この映画はカルト教団の誰かを説得し、脱洗脳を目指して作ろうというものではありませんが、しっかりと解題しておくことが、この社会問題の本質的解決につながるものであると考えています。
私は一人の人物を徹底して深堀し、この問題の真相に迫るという手法をとり、荒木浩アレフ広報部長に縁のある場所を旅し、彼の原風景を映像として捉えながら、被害者の私のダイアローグを通じて、時には厳しい質問を投げかけ、その反応も映し、学術的考察や記述は出版に任せ、ビジュアルな映像表現によってしか描けないドラマの用意されたドキュメンタリーにしたいと思います。