2015年02月26日 19:51 弁護士ドットコム
日弁連は2月26日、たとえ他の法律で「18歳以上は成人」と扱うようになったとしても、少年法は現在のまま「20歳未満」を適用対象とすべきだという意見書を法務大臣に提出した。
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日弁連子どもの権利委員会幹事の斎藤義房弁護士は、少年法の適用年齢について、「個別の法律の目的、趣旨に沿って考えてほしい。選挙の投票を18歳からにするから少年法も引き下げる、という短絡的な議論はやめてほしい」としている。
日弁連の意見書は、少年事件全体のうち18歳、19歳の少年が被疑者となる事件は約4割を占めていると指摘。18、19歳はまだ精神的・社会的に未成熟で、対象年齢を18歳未満に引き下げれば、「少年の立ち直り・成長支援と再犯防止を阻害する」と批判している。
少年事件の審理では、大人と違い、被疑者の成育歴や成育環境、資質など、少年が立ち直るための「配慮すべき重要な事実」が重視されている。もし、18歳や19歳の若者の事件が通常の刑事手続きで扱われるようになれば、「犯罪の背景・要因となった若者の資質や環境上の問題点に関する調査・分析」や、少年が立ち直るための「手当がなされないまま手続きが終わることにある」と危惧している。
報告書はまた、重大な非行を犯した少年ほど、自己肯定感が低く、「自分など、生きていてもしょうがない」「死んでも構わない」などと思っている者が多いと指摘。そうした少年の非行は、刑罰の恐怖で思いとどまらせることはできず、むしろ少年法の「教育的・福祉的援助」が必要だとして、「少年や保護者の指導について、長い経験と実績を有している」少年院や、保護観察、家庭裁判所の役割が重要だと訴えた。
意見書の全文はこちら
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2015/opinion_150220_2.pdf
(弁護士ドットコムニュース)