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元カレから「裸の画像を売るぞ」と脅された・・・「リベンジポルノ」はどんな罪?

2015年02月25日 16:11  弁護士ドットコム

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彼氏と別れようとしたら「裸の画像」を撮られて脅された――。ある女性からこんな深刻な相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。


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投稿によると、付き合っていた彼氏に別れ話を切り出したところ、半ば強引にホテルに連れて行かれ、携帯で無理矢理「裸の画像」を撮られた。メールで何度も「画像を売る」と脅されながら、その後、半年くらい交際が続いたという。



別れた後も2年間くらい、女性を中傷するメールや「画像を売った」といった文面のメールが届いた。女性は逆恨みを怖れて強く出なかったが、最近になって「画像がネットで出回ってるのではないか」と怒りが込み上げてきたそうだ。



こうした行為は最近、「リベンジポルノ」として注目されている。女性の「元カレ」の行為は罪に問われるのだろうか。刑法とサイバー法を専門とする園田寿・甲南大学教授(弁護士)に聞いた。



●脅迫罪は成立するのか


「まず、女性に対して『裸の画像を売る』と告げて脅していることから、脅迫罪の成否が問題となります。『脅迫』とは、生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告げて、人を脅かすことです(刑法222条)」



園田教授はこう切り出した。では、女性の「名誉」を害することを告げた脅迫行為と考えることはできるのだろうか。



「『名誉』とは、社会的評価のことです。



『裸の画像を売る』ことは、たしかに人の羞恥心(しゅうちしん)を害し、恥辱(ちじょく)の感情を起こさせます。しかし、社会的評価を低下させるものであるとはいえないでしょう。



ただ、写り方によっては、『性的に無節操な女性』といった評価がされる可能性があります。そのような場合は、『名誉』についての脅迫罪が成立すると考えます」



●強制わいせつ罪や強姦罪の成立は免れない


ただ、一般的には、脅迫しているようにしか見えないのだが、問題はないのだろうか。



「『脅迫』という手段を用いて男女関係を強要しているので、脅迫罪が適用されなかったとしても、強制わいせつ罪や強姦罪にあたる可能性があります。



脅迫罪の場合と違って、強制わいせつや強姦では、『脅迫』の内容に限定がありません。相手からの抵抗を完全に封じてしまうほど強力な『脅迫』でなかったとしても、成立します。



裸の画像が売られるというのは、女性に絶望的な恐怖を与えます。女性の『自由』を奪って、男女関係を強要したという点で、強制わいせつ罪や強姦罪の成立は免れないと思います」



ほかには、どんな罪が考えられるのだろうか。



「昨年成立した『リベンジポルノ被害防止法』では、プライベートに撮影した『裸の画像』を不特定多数に提供したり、インターネット上に公開したりすると処罰されることになりました。



2月19日には、全国で初の逮捕者が出ました。もしもその画像が他人に公開されていたとしたら、典型的な『リベンジポルノ』の事案だと思います。



また、女性に中傷メールを送りつけていますので、ストーカー規制法の対象です。この『元カレ』に対する警告や処罰を求めることも可能です」



園田教授はこのように説明していた。立場の弱い相手につけ込むような行為はやめるべきだろう。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
園田 寿(そのだ・ひさし)弁護士
甲南大学法科大学院教授(刑事法)。大阪府青少年健全育成審議会副会長、大阪弁護士会情報問題委員会委員、自治体の公文書公開・個人情報保護審議会委員を歴任、著作に『情報社会と刑法』(成文堂、2011年)など。

事務所名:木村眞敏法律事務所