トップへ

ドリコム内藤社長が学生の起業を支援する理由 「発明が生まれ続ける仕組みつくりたい」

2015年02月25日 11:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

モバイル向けコンテンツやインターネット広告などのサービス企画・開発を行うドリコム。コアビジネスとして「ソーシャルゲーム」「広告」「ソーシャルラーニング」「メディア」の4事業を展開する東証マザーズ上場企業だ。

「インターネットサービスのものづくり企業」として若者の起業を後押しすることにも熱心で、資金提供を伴う育成プログラムを行っている。その背景にあるものは何か。同社広報の佐藤志穂さんに内情をレポートしてもらった。

1チーム100万円、半年でプロダクトを立ち上げる

現在ドリコムでは、起業を志す学生たちを後押しするプログラム「Startup Boarding Gate」に力を入れています。「こんなサービスあったらいいな」「このアプリは絶対流行る」という思いを抱えた応募者から選抜して2~3人のチームをつくり、法人化した上で「半年で新しいサービスを1からつくってもらう」というものです。

開発資金としてチームごとに100万円ずつ提供し、オフィスなどの設備を提供することはもちろん、ドリコムの社員や役員がメンターとなって助言をします。期間の最後には、ベンチャーキャピタルや起業家の前で事業企画のプレゼンを行ってもらいます。

プログラムの参加者は一般の学生で、ドリコムの社員や内定者ではありません。なぜ当社がこのようなことをするかというと、創業者で社長の内藤裕紀が学生時代に起業したとき、分からないことが多くて苦労をしたという経験があったからです。

「もしあの頃に起業を支援してくれるプログラムがあれば、もっとうまくいっただろうと思うんですよね」(内藤の言葉)

とはいえ、プログラムは順風満帆に進むわけではありません。2014年度に参加した6社のほとんどが、公募時からサービス内容を変更。開発スケジュールが予定通りに進まず、デモの直前で会社の代表が抜けて解散の危機に陥ったチームもありました。

創業者の療養が「事業に取り組む意識」を変えた

それでも最終日の「DemoDay」では全社がプレゼンを行い、投資家との個別面談の機会が得られました。学生からは「一生のうちでこんなに濃い6か月はなかった」という声もあり、どの学生もプレゼン後の顔が輝いていたのが印象的でした。

「Startup Boarding Gate」は、若き起業家たちが将来の仲間となる役員(Board Member)に出会う場として構想されたものですが、その背景には内藤が2011年にギラン・バレー症候群という病気で入院した経験も関係しています。

身体の自由が利かなくなり数週間の安静が必要となる中で、事業に取り組む方向性を少しずつ変えるようになりました。

「新しいものを生み出す仕組みとは何か、自分がいなくなっても回るような『発明が生まれ続ける』エコシステムとはどのようなものなのかを考えたのです」(内藤)

もちろんこの考えは、ドリコムの社員に対しても適用されています。当社では「人が集まってものづくりをする」ことを重視し、チーム同士や部署を超えたコミュニケーションを後押しするオフィスという環境づくりも進めています。

そのひとつが「カフェスペース」の創設。専用のバリスタが常時いるカフェは、ベンチャーでも珍しいでしょう。社員同士でランチを食べたり雑談したり、社内外の方々とミーティングしたり、新卒説明会やエンジニアの勉強会を開くなど様々な形で活用されています。

会議室の名称も「トーマス・エジソン」や「アルバート・アインシュタイン」など、世界の発明家の名前が並んでいます。会社がものづくりや発明の場所であることを理解してもらい、自然とそういう感覚が育っていくことを促す意味もあります。

社員のアツイ行動に社長が「お寿司券」で報いる制度も

1人で集中したい時に使える専用スペースもあります。マッサージチェアやソファ、加湿器が用意されているリラックススペースも。人目を気にせずにリラックスできる場所を用意することも「働きやすさ」の一つかなと考えています。

ここでちょっと変わった社内制度をご紹介!

<マイチェア制度>当社では会社が準備した快適な機能を持つイスの中から、自分に合うイスを選ぶことができます。身体への負担が軽減されるので、デスクワークが多いエンジニア社員に好評です。

<アツイねカード>社員が仕事や職場で「アツイ」と思った行動をした人のエピソードを、紙に書いてコルクボードに貼っておくと、内藤が月に1度回収し、本当にアツイと感じる行動をとった社員に「お寿司券」を渡して社内を回ります。

この券をもらった社員は、プロジェクトメンバーや部署メンバーと一緒にお寿司を囲むことができますが、これによって自然と交流が生まれます。社内コミュニケーション活性化のための大事な行事の一つですね。

【プロフィール】ドリコム広報 佐藤 志穂:1986年生まれ。青森県出身。インターネットメディアで営業と広報を兼任した後、事業会社の広報へ転職を決意。2014年にドリコムに入社し、現在は広報を担当。ベンチャー企業の魅力を日々PRしている「なでしこ広報会」(主宰:栗田朋一・東京PRアカデミー代表)に参加している。