「留年や中退、引きこもりも歓迎!」――そんなキャッチフレーズで昨年話題になった「アウトロー採用」の新企画「旅人編」が3月からスタートする。今度は海外で留学や放浪を経験してきた人を対象にした就職サービスだという。
今回も「NEET株式会社」や「ゆるい就職」などを手がけてきた慶応義塾大学特任教授の若新雄純氏が企画に参加。NPO法人キャリア解放区と、若者の旅文化を支援する団体TABIPPOが運営する。
求めるのは意識高い系でなく「泥臭いバックパッカー」
対象となるのは、2015年卒業予定者含む29歳までの就職経験のない大学既卒者と中退者。海外留学や放浪、バックパッカーなどの経験のある旅好きであることが条件だ。
ただし海外で過ごした経験があるといっても、求めているのはいわゆる「意識高い系」ではない。キャリア解放区の納富順一代表は、求める人材像をこう説明する。
「MBAを取得するためにとか、就職に有利だからという理由で海外に行った人ではなく、バックパッカーのように好奇心だけで世界に出た泥臭い人にはぴったり。広い世界に接することで『自分とは何か』を考えようとしたのはいいが、日本に帰ってきたら就活シーズンが終わっていた、という人向けのサービスになります」
公式サイトにも、対象イメージとして「語学堪能ではないが、現地の人とはなぜか仲良くなる」「英語はそれなりに話せるが、別にTOEIC/TOEFLの勉強を頑張ってたわけでもない」「好奇心はあるが、張り切るのはなんかダサい」といったゆるい項目が挙げられている。
参加企業の名前は明かしてはいないが、中小ベンチャーから大手製薬や外資コンサルまでと幅広い。企業の方も、やはり世界を見てきた若者に新しい価値観を持ち込んで欲しいと期待しているとのことだ。
基本的な流れはこれまでのアウトロー採用と同じだ。まずは参加者同士が集まってワークショップを開催。次に企業の担当者がそこに加わって交流する。最初のうちは企業は社名を言わず、参加者にも大学名を聞かないといい、あくまでもフィーリングによる対等な交流を重視する。
前回は35人の就職先が決定。10人採用する会社も
その後のマッチングで参加者と企業が仲良くなれば、互いに納得いく形式で選考を行い、内定となる。面接などの替わりにインターンを実施する企業が例年多いという。4月からプログラムがスタートし、内定は5月以降になる。もちろん参加費は無料だ。
前回のアウトロー採用2015では、参加者80人のうち35人の就職先が決まった。中には1社で10人採用した企業もあったという。納富氏は、この手法のメリットについて、
「相手の素が見えない従来のマニュアル化した就活とは違い、アウトロー採用なら互いにフィットするかしないかが、はっきりと分かります。内定に至るまでの交流にも時間をかけるので、納得した上で入社し、働き始めてからも頑張る人が多いのも特徴です。そうした点が企業にも評価されているのだと思います」
と説明。今回の「旅人編」からも内定者が多数出ることを期待しているという。
参加希望者については、「こちらから何かを教えたりお膳立てしたりすることはないので、効率重視の人には向きません。それでもその中で自分なりに模索していくことができる、トガッた人を待っています」と話していた。今後はまず3月10日と15日に東京で、23日には大阪で説明会を開催するということだ。
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