3月1日は経団連加盟企業の「就活解禁日」。中には複数の企業から内定をもらい、「どこにしようかな?」と迷う人もいるだろう。内定を蹴られる会社もあるが、落とす就活生もいるのだからお互い様といったところだろうか。
そんな就活時期を前に、人材事業も手がけるベンチャー企業、ヴァンテージマネジメント社の中山紘太代表が2月22日のブログで書いた「なぜ『他社の選考を受けてから判断したい』はNGなのか」という記事が注目を集めている。
渋る学生に「君の評価は、今、下がったよ」
同社では先日、早くも2016年卒の内定承諾者第一号が出たが、その過程で候補者のS君とこんなやりとりをしたという。
承諾するなら内定を出すと伝えたところ、8割くらいは入社の意志は固まっているが「他社の選考も受けてから判断したい」と渋られた。
これに対して中山氏は、「他社の選考も当然受けてきていいよ」と返答したものの、こういう厳しい返事をしたと明かしている。
「『他社を見てから決めたい』と言ったS君の評価は、今、下がったよ。どういう意味かわかる?」
中山氏は、他社を見てから決めるということは「ここよりもいい会社があることを期待していること」であり、それは「与えてもらうことしか考えてない人の発想」と指摘した。
そして、会社や環境は選ぶものではなく「創るもの」であり、自分たちは「タダ乗りするのではなく、創る側に回る意志がある同士(志)を探している」と考えを示した。そして、もし自分で環境を変えるつもりがないなら、ベンチャーに入る必要はないと畳み掛けた。
「自分に自信があって、変えられる土壌が有ることを確認できたなら、何で必要以上に他社を見る必要があるんだろう?」
「1社目や2社目ならともかく、ある程度見て8割も『見つけた』と思えたなら、それはもう決めるタイミングじゃないのかな?そんなに無いよ。びびびっと来る組織なんて。どう? 自信ないの?」
「選ぶ」「創る」は二者択一ではないとツッコミも
結局、心を動かされたS君は内定承諾となったようだ。「ベンチャーの熱くてちょっとイイ話」という雰囲気の内容ではあるが、このエントリーがネットで炎上状態になっている。
特に先輩社会人には、「会社や環境は選ぶものではなく創るもの」という点が引っかかったようだ。はてなブックマークには、こんなコメントが並んでいる。
「選んだ上で環境をクリエイトすればいいと思うけど、なんで二者択一なんだろう?」
「創るのに自信があったとしても土台がダメならその上に何を創ってもダメという事はある」
環境は自分で作るものだとしても、土台はしっかりしていた方がいい。それは事業の将来性や資金力、経営者の力量だったりする。「労働者(しかも学生)に経営者の視点を求めててドン引き」という声も少なくない。Facebookでは会社経営者の男性が
「言いたいことは分かるけど、都合よすぎじゃないか。株も持てずに雇われるに過ぎないのに。僕が学生の時にこう言われたら確実に蹴るなあ。理屈飛んでるもの」
とコメントしていた。一緒に会社を創っていくというのなら「従業員が出資できるようにするか、十分なストックオプションを用意しなければいけない」という人もいる。
もっとも、一番大事なのはS君が入社に納得しているかどうかだ。はてなには「数年後S君が取締役になっているようならこれもありかなぁ」という書き込みも寄せられていた。
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