2015年02月23日 10:51 弁護士ドットコム
「どうやら俺の弟が年金払ってないらしい」「年金払うの無視してたらどうなるの?」。ネットの匿名掲示板に、こんな書き込みがあった。
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書き込みによると、弟は土木作業員で実家暮らし。その実家に「めっちゃ手紙が来て」いるらしい。弟がどれぐらい稼いでいるかは不明だが、実家の世帯年収は1200万円ほどあるという。
掲示板では、「無視でOK」といった反応もあったが、もし国民年金の督促が来ていて、それを無視しているのだとしたら、後で「何かひどいめ」にあったりしないのだろうか。社会保険労務士の巴山奈美氏に聞いた。
「国民年金の保険料を滞納し続けた場合、預貯金などの財産を差し押さえられてしまう可能性があります」
財産を差し押さえられたら大変だ。「俺の弟」もピンチと言えるのだろうか。
「『めっちゃ手紙が来ている』ということですが、督促状が来ているとすれば、深刻な状況です。
督促状は『最終通告』です。役所が督促状を送る基準は、『所得400万以上で13ヶ月以上滞納』となっています。
さらに、2015年度、つまりこの4月からは条件が厳しくなって、『所得400万以上で7ヶ月以上滞納』の人に送られることになりそうです」
督促状を無視したら、どうなるのだろうか?
「先にお伝えした通り、預貯金などを差し押さえられる可能性があります」
「そもそも年金を支払っていないと、将来もらえる年金が減ります。場合によっては、年金を全くもらえないという事態も起こりえます。
さらに、国民年金を支払っていないと、障害を負った際にもらえる障害年金がもらえませんし、死亡時の年金も、もらえなくなる可能性があります。いざとなったときに困ることになるのです」
払いたくても払えない場合は、どうすればよいだろう。
「もし、所得が減ったり、失業した等の事情があって、年金を払えないのであれば、免除や納付猶予の制度があります。
国民年金は25年以上保険料を支払うと受け取ることができ、支払った保険料に応じて金額が決まります。滞納の期間は加入期間にカウントされませんが、保険料免除や納付猶予であれば、加入期間にカウントされます。
この制度を利用した場合、保険料を支払っていない分、もちろん受け取る金額は減ります。けれど、後から支払って年金を増やすこともできるのです。年金を払う余裕がない人は、払わないまま放置せずに、この免除・猶予制度を検討してみてください」
巴山氏は、このように話していた。
(税理士ドットコムトピックス)
【取材協力社会保険労務士】
巴山 奈美(はやま・なみ)社会保険労務士
岡山県生まれ。社会保険労務士の資格を取得後、都内社会保険労務士法人に勤務。労務管理、労使トラブルの解決、社会保険事務などに携わる。 2014年、ベンチャーサポート税理士法人に入社。
事務所名 :ベンチャーサポート税理士法人
事務所URL:http://www.venture-support.jp/