2015年02月21日 11:31 弁護士ドットコム
10年間セックスレス。気が狂いそうで離婚したい——。「47歳男性」の悲痛な叫びが、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに投稿された。50歳になる妻とは、結婚14年目。しかし、この10年間、セックスもスキンシップもなく、アダルトサイトや風俗のサイトを見て、癒やされているのだという。
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寂しさと欲求不満のあまり「気が狂いそうになる時もあり、犯罪をおこさないかと思うときもたまにあります」と悩みを打ち明けている。妻に理由を聞けば、「したくなくなった」という短い返答しかなく、辛い心情を訴えても「誰かいい人見つけて」と言われるだけ。男性は絶望のあまり、離婚も考えているそうだ。
この男性のように、10年間にわたるセックスレスで精神的苦痛を受けているような場合、希望すれば、離婚できるのだろうか。須山幸一郎弁護士に聞いた。
「仮に、セックスに応じてくれないことを理由に、妻に離婚を求めた場合、妻が応じてくれれば『協議離婚』は可能です。しかし、妻が応じてくれない場合、夫は『離婚調停』の申し立てをしなければなりません。
調停になっても、妻が離婚に応じてくれない場合には、『離婚訴訟』を提起し、民法で定められた離婚原因に該当することを主張・立証しなければなりません」
須山弁護士はこのように説明する。民法では、どのような事情が「離婚原因」として定められているのか。
「民法には
(1)不貞行為
(2)悪意の遺棄
(3)3年以上の生死不明
(4)回復見込みのない強度の精神病
(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由
という5つの離婚原因が列挙されています。
今回問題になっている『セックスレス』は(1)~(4)には当たりませんので、裁判では(5)に該当すると主張することになります」
では、今回のケースは(5)に該当するのだろうか。
「具体的にどのような場合が該当するかは難しい問題です。セックスレスでいえば、仮に性交渉がなくなっても、夫婦の間に愛情や信頼関係があれば何ら問題ない、と考える夫婦は少なくありません。一方、性生活は婚姻生活の基本となる重要な要素の一つだ、という見解も有力です。
裁判所は、性交渉が断絶している期間や、性交渉の拒絶に正当な理由があるかどうかという点を含め、夫婦間の一切の事情を考慮し、社会通念や経験則を踏まえて、(5)の『その他婚姻を継続し難い重大な事由』に該当するかどうかを判断します。
正当な理由のない『性交渉の拒否』が長期間にわたっており、夫婦の関係も破綻していると認められる場合には、『その他婚姻を継続し難い重大な事由』があると判断されるでしょう」
相談者の妻の「したくなくなった」という理由は、セックスを拒否する正当な理由といえるのだろうか?
「『したくなくなった』という理由は、性交渉拒否の正当な理由には当たりません。10年間のセックスレス以外にも、夫婦間に生じている諸事情を含め、婚姻関係が破綻していると認められれば、離婚は可能でしょう」
須山弁護士はこのように語っていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
須山 幸一郎(すやま・こういちろう)弁護士
2002年弁護士登録。兵庫県弁護士会。神戸家裁非常勤裁判官(家事調停官)。三宮の旧居留地に事務所を構え、主に一般市民の方を対象に、法律相談(離婚・男女問題、相続・遺言・遺産分割、借金問題・債務整理等)を行っている。
事務所名:かがやき法律事務所
事務所URL:http://www.kagayaki-law.jp/