大学生にとって2月は、期末試験も終わって、成績表が届く時期。単位を落としているんじゃないかと気が気でない人も多いだろう。そんな中、大学院生がツイッターに投稿した内容が話題を呼んでいる。
2月12日にツイートされたもので、この日、恩師である教授がこんなことを語っていたのだという。
「学生は1年留年すると100万そこらの損失だと思ってるようだけど、実際は定年が1年早くなるんだから生涯年収は大体1000万ほど下がるんだよね~」
「会社ってつぶれるもんやで」という反論も
さらに教授は、学生として過ごす1年分の家賃や、留年によって就職が厳しくなることなどを考慮すると、1500万円の損失になると指摘。この話を聞いた投稿者は、これ以上聞きたくないとばかり耳をふさいだという。
この投稿はネットで話題になり、18日現在までに1万件以上リツイートされた。「うちの大馬鹿な姪に聞かせてやりたいですw」「それもまた真だな」と納得する声がある一方で、反発する人も少なくない。
「定年まで働けるという前提がおかしい。会社ってつぶれるもんやでー。1年留年しても、その時しかできないことをやった方が勝ち組」
このご時世、40年後も絶対安泰と言い切れる会社はほとんどない。仮に会社が残っていたとしても、リストラされてしまう可能性もある。定年まで1年短くなっただけでは、生涯年収がダウンするとは言い切れない、というのだ。
就職が遅ければ機会損失という指摘に対し、はてなでは「高卒最強だ」「だから博士課程なんて行ったら損失莫大ですよ! と言い返してやれ」と揶揄する声も出ていた。
最近は転職も珍しくないので、留年よりも就職後のキャリアの築き方の方が生涯年収への影響は大きいのではないか。とはいえ「普通の勤め人の定年前給与は平均1000万もあるのか。じっと手を見る……」という声も。定年直前までに年収1000万円に到達することができるのは、いまや一部の恵まれた人だけではないだろうか。
最終的には「幸せはお金じゃない」という結論に
留年することの経済的損失については、昨年7月にも経済評論家の山崎元氏が、現代ビジネスに「就職のために留年するのは損である! さっさと働いてみようよ」というコラムで指摘している。
仮に人生で40年働くとすると、1年の留年は「生涯労働時間換算で2.5%の損失に相当する」と説明。加えて就職浪人すると、採用市場で「人材価値」が1年前よりも上がるどころか下がる可能性が大きい、としている。それなら、内定先が不本意でも留年しないで働いたほうが経験と知識を得られる、という内容だ。
この指摘に対しては、納得した人が多かったようで「今時、一年待つ価値のある企業があるとは思えない」「このご時世、留年してまでムリに大企業めざす必要もないでしょ」といった声が出ていた。
ただし冒頭の教授は、留年で生涯年収が減るということを大まじめに言っていたわけではなく、留年しそうな学生に奮起をうながすための言葉だった、ということもありそうだ。この大学院生は後日、教授と食事に行き、
「最終的に幸せはお金じゃないとかいう辺りに着地しました」
と投稿していた。