チェーンの居酒屋には、団体客が多いです。数年ぶりに会う同窓会や、女子会で来る人もいます。そうなると、したくなるのが記念撮影。久しぶりに集まった記念にパシャリとするお客様が多くいました。
そんなとき、自撮り機能のある携帯や自撮り棒があればいいのですが、自分たちだけで撮影することは難しいときは、居合わせた店員が「はい、チーズ」といって撮ることがあります。そんなある時、これが思わぬ大きな問題に発展しました。(文:ナイン)
好意で「押しましょうか?」と言った後に…
私が働いていた店に、30代のアルバイト男性がいました。いつも笑顔で接客態度もよく、お客様からの人気も高い人です。ある日、デジタルカメラで記念写真を撮ろうとしているお客様を見かけたので、彼は気を利かせて、
「よろしければ、私がシャッターを押しましょうか?」
と一声かけました。「お願いします」というお客様からカメラを預かり、「さぁ撮りますよー」といったそのとき、手を滑らせてカメラを床に落としてしまいました。
慌てて取り上げ、お客様にカメラを確認してもらいましたが、シャッターボタンを押しても何の反応もしません。落とした衝撃で壊れてしまったようです。
お客様の「これ高かったんだよ! どうしてくれんだ!」という怒声に気づき、私もその場に駆け寄り、アルバイトの男性と一緒に必死に謝りました。
何とかなだめて「カメラを弁償し、今回の飲食代を割引する」ということで話が付きました。その壊れたカメラを借りて、後日、私は同じものを買いに行くことにしました。
足元を見られているようでスッキリせず
こちらで壊してしまったものですから、中古で安く購入するのも失礼だろうと思い、新品を探し出しました。すぐにお客様に「見つかりましたので、お送りします」と伝えると、予想していない答えが返ってきました。
「えっ、あぁそう。それで同じものを買うの?」
「はい。我々が壊してしまったので、新品のもので弁償させていただきます」
「いや、そうじゃなくて。同じものなの? 今は最新のものも発売されてるからさ、こういう場合はさぁ、最新のカメラを買うもんじゃないの?」
え、そうなんですか…。もちろんこちらが壊したものですから、弁償は当然と思いますが、それ以上の物を要求するのはいかがなものでしょうか。それとも、そのように考える私の感覚がおかしいのでしょうか。
結局、「弁償と飲食代の割引」で話はついたはずですから、「壊したもの以上の弁償はできかねます」と説明し、どうにか分かってもらえました。こういう人をみると、こちらに非があることに付け込んで足元を見られている気がして、何だかスッキリしませんでした。
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