企業の採用担当者は、応募してくる学生の本名などでネットの書き込みを検索するのか――。先日もツイッターでこんな質問を受けましたが、私はやっています。最終面接が近づいてくると人数が少なくなりますので、そのタイミングで一度は検索します。
SNS上に愚痴や不平不満、友人・知人の悪口など「ネガティブな内容」が多く見られる場合は、落とす判断材料にすることがあります。例えば学校やバイト先について気に入らないことをあげつらったり、そこでの人間関係に文句を書き続けていたりすることです。(文:河合浩司)
「内定者がくだらない男ばかり」という書き込みを見かけ…
問題のある書き込みを実際に目にしたことがあります。お恥ずかしい話、私の母校の後輩がしでかしました。OB訪問で会いに来てくれた女子学生だったのですが、結局、弊社の選考に進むことはありませんでした。
ただ、SNS上でやりとりだけはしていました。最終的に彼女は無事に志望企業から内定を受けて、喜びと感謝のメッセージもくれていました。ところが内定式の数日後、問題の投稿がSNS上に書かれました。
「内定先の内定者がくだらない男ばかり。幻滅!」
といった内容だったのです。それまでも多少感情的な投稿がある人だったので、気にはなっていました。しかし、さすがに今回の内容は「これはまずい…」と思いました。私はすぐにメッセージを送って、投稿を削除するよう伝えました。
「あの内容は本当にまずいよ。内定者に会って残念な思いをした気持ちはわかるけど、あの投稿だけは削除した方がいいよ」
彼女は素直に聞き入れてくれて、すぐに削除してくれました。一応、内定先にはバレず(?)に済んだようで、特に何もなかったそうです。あのまま放置していたら、内定取り消しや意に沿わない配属など、何らかの厄介ごとに発展していてもおかしくありません。
過去の書き込みも削除か公開設定の見直しを
いまさら言うまでもないことですが、ネット上に公開する書き込みは、特定の個人に宛てたものであっても、不特定多数の目に触れるものです。就活を本格に始める前に、すでに投稿したものについても何らかの対策をしておくことを強くお勧めします。
ツイッターは本名を使わないでおくか、鍵をつけるだけで十分でしょう。過去のツイートが本名のまま、外部サイトに記録されるほどの人はそうそう存在しないでしょうから。
フェイスブックは、見られて困るような内容のものは削除するか公開範囲の設定などもした方がいいと思います。ブログも個人が特定されるようなものは、扱いに気を付けた方がいいでしょう。
「そんなことくらいで?」と思う人がいるかもしれません。しかし採用担当者としては、入社後も同じように社内のことを悪く書かれることを避けたいので、当然のリスクヘッジだと理解してください。
昨今はSNSで悪ふざけをした写真が流れたことから、店舗が閉鎖に追い込まれた事件も起きていて、こういったことに企業は意外なほど敏感です。このような情報リテラシーは、これからの社会で大きな失敗をしないために必要な力になってくると思います。
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