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スーパーGT:細部ディテールからみるGT500仕様NSXコンセプト-GTの15年への進化

2015年02月17日 13:20  AUTOSPORT web

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大阪オートメッセに展示されたKEIHIN NSX CONCEPT-GTのフロント。上部カナードのフィンが目を引く
2月13日から15日まで開催された大阪オートメッセ。この会場ではスーパーGT500クラスの3メーカーがそれぞれ車両を展示したが、1台興味深いマシンが展示された。KEIHIN NSX CONCEPT-GTがそれで、2015年に向けた新エアロを装着していたのだ。展示されていた車両から、14年仕様との違いをみてみよう。

 2014年からDTMドイツツーリングカー選手権と車両規定を統一化したスーパーGT500クラス。この『クラス1』と呼ばれるレギュレーションでは、全車がモノコックをはじめ多くの共通部品を使用しなければならず、車軸中心のラインから上側のボディは前後フェンダー、前後バンパー周辺、サイドミラーをのぞき、市販車のボディラインを保たなければならない。

 このラインは“デザインライン”と呼ばれ、前後フェンダー、バンパー周辺と改良が許されるデザインライン下部がこの規定の空力開発の要となる。2013年まで使用されていた“09規定”の車両とは異なり、ハイダウンフォース仕様では開幕前のホモロゲーションを受けた後からの改良は一切不可。クラス1規定では空力開発はこの時季の重要なポイントで、DTMでも毎年新しいエアロが開発されている。

 すでに各メーカーが2015年仕様のエアロをテストしはじめているが、ホンダNSXコンセプト-GTは鈴鹿で新エアロを投入したと言われており、2月11日~12日には4台が岡山でテストを実施した。このうち、ARTA NSX CONCEPT-GTとKEIHIN NSX CONCEPT-GTが新エアロを装着。Drago Modulo Honda Racingの車両となる99号車は、新たなサイドミラーを装着していた。

 その直後の13日から開幕した大阪オートメッセでは、KEIHIN NSX CONCEPT-GTが岡山テストのままの姿で登場した。KEIHIN NSX CONCEPT-GTは昨年、デザインラインの部分までシルバーメッキのカラーリングが施されていたため、カーボン地の部分が新パーツであることが容易に分かる状況だった。

 変更箇所は全体にみられるが、フロントから見ていくとまず目を引くのが、2枚のカナードの上の1枚。カナードに立てられたフィンが目を引く。サイド周辺の整流が目的だろうか。またフロントフェンダー上部のルーバーもこれまで5枚の開口部だったのが、他2車と同じ7枚になっている。

 サイドのデザインライン下部、『サイドダクト』と呼ばれる部分も変化がみられる。フロントのタイヤハウス下端は、昨年仕様までスムーズにエアを抜くような形状だったが、今季は段状に成形され、上側のカナードにスムーズにエアが流れるような形状に。サイドダクトの後ろ側も湾曲した形状となり、カナードが1枚追加された。もともとNSXコンセプト-GTはサイドのカナードの数が多かったが、これで合計6枚となった。

 リヤフェンダー周辺にも大きな変化がみられる。前端は大きな変化はみられないが、リヤフェンダーからバンパーに向けたフェンスが大型化。その内部にはガーニー状のフラップも見て取れる。さらに、リヤバンパー左右のボックスも形状が変化した。昨年のNSXコンセプト-GTはリヤのタイヤハウス内からエアを抜くダクトが設けられていたが、今年は塞がれ、下部にディフューザーが設けられた。

 実際にこの形状が“実戦仕様”として登場するかはまだ分からないが、クラス1規定の2年目を迎え、より空力のリファインが行われている様子が見て取れる。もちろん改良は外側だけには留まらないはずだが、見た目でも大きな変化を感じることができるだろう。