2015年02月17日 10:21 弁護士ドットコム
客に「バカラ賭博」をさせたとして、賭博場の経営者と従業員15人が2月上旬、賭博開帳図利の疑いで福岡県警に逮捕された。また、客3人も賭博をした疑いで、現行犯逮捕された。
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報道によると、賭博場の経営者たちは昨年12月から今年1月にかけて、福岡市博多区の雑居ビルで、客にトランプを使ったバカラ賭博をさせ、手数料を受け取った疑いがもたれている。
バカラ賭博が摘発されるケースは、たまにニュースで耳にする。だが、ポーカーのように、誰でも知っているゲームとは言いがたい。バカラ賭博とは、いったいどんなギャンブルなのだろうか。賭博罪にくわしい津田岳宏弁護士に聞いた。
「バカラ賭博は、トランプを胴元側(バンカー)と客側(プレイヤー)の二手に配って、どちらが勝つかを当てるギャンブルです。点数が9に近いほうが勝ちとなり、その勝つ側を当てれば、客の勝利となります。
要するに、勝つ確率が2分の1。丁半博打と同じで、きわめて単純なゲームです。その単純さゆえに、最もエキサイティングなギャンブルであり、『金持ちが最後にたどり着く遊び』と言われています。
また、世界中の金持ちから愛されており、北朝鮮の最高指導者だった故・金正日氏も愛好していたといわれています」
津田弁護士はこのように説明する。どうやら、ギャンブル好きにはたまらないゲームのようだ。
「ただし、そのエキサイティングさえゆえに、大王製紙元会長の井川意高氏のように、大きな傷を負う人もいます(井川氏がカジノでハマッたのはバカラです)。
『バカラ』という言葉は、イタリア語で『ゼロ』を意味し、転じて『破産』の意味でも使われる言葉です。バカラは、その危険性を十分理解した上で遊ぶべきゲームです」
今回のケースにように、バカラ賭博を開いたら、どんな罪に問われるのだろうか。
「日本には、バカラ賭博を合法とする法律はなく、バカラ賭博を開くと、賭博開帳図利罪で処罰されます。罰則は、3カ月以上5年以下の懲役です」
罰則があるにもかかわらず、バカラ賭博で摘発されるケースは後を絶たない。どんな背景があるのだろうか。
「現在、日本にある『違法カジノ』は、そのほとんどがバカラ賭博に特化しているといわれています。
というのも、バカラ賭博には、勝負が早いという特徴があります。また、倍プッシュ(次の賭け金を2倍にして勝負すること)などが容易で、客がアツくなりやすい。つまり、違法カジノ店にとって、バカラ賭博は売上が上がりやすいのです。
バカラ賭博をおこなう違法カジノは利益を上げやすく、暴力団の資金源になりやすいので、警察は厳しくマークします」
このように説明したうえで、津田弁護士は次のように「違法カジノ」をなくす方法を提案していた。
「個人的には、違法カジノが暴力団の資金源になることを防ぐ観点からも、厳格な規制下で、合法的なカジノを日本につくるべきだと考えています。カジノを合法化したイギリスでは、100以上あった違法カジノがすべて姿を消しました。日本もそうなるべきです」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
津田 岳宏(つだ・たかひろ)弁護士
京都弁護士会。京都大学経済学部卒業。著書に「カラマーゾフを殺したのは誰か?世界の名作でリーガルマインドを学ぶ」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)「弁護士には聞きにくいー知って助かる!法律相談」(青春出版社)、「賭けマージャンはいくらから捕まるのか」(遊タイム出版)など
賭博法改正を願う弁護士津田岳宏のブログ http://tsuda-moni.cocolog-nifty.com/
事務所名:京都グリーン法律事務所
事務所URL:http://www.greenlaw.jp/