2015年02月16日 11:21 弁護士ドットコム
確定申告の季節。フリーランスや副業をしている人は、税務署に提出する書類の準備に追われているころかもしれない。そんな人にとって、朗報といえそうなニュースが報じられた。インターネットを使った電子申告・納税が、もっと手軽になるというのだ。
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電子申告というと、これまでは、本人確認のための特別の機器を用意したり、紙で書類申請をすることが必要なものもあったりして、あまり普及していなかった。ネット経由で申告する場合でも、自宅ではなく、税務署の窓口のパソコンを利用する人が多かった。
しかし、日経新聞によれば、2017年の確定申告から、携帯電話で本人確認ができるようになり、専用の機器が不要になるという。また、減税申請などの際の添付書類もPDFファイルで送ることが認められるようになる。
今回の変更に伴い、電子申告・納税はさらに普及するのだろうか。普及に向けた課題として、どのようなものがあるか。久乗哲税理士に聞いた。
「所得税の申告では、税金が戻ってくる『還付申告』がその半数以上を占めています。最近、税務相談会場で、年金や医療費控除、住宅取得控除をされる方々が、電子申告を選択するケースが増えたように感じますね。
導入当初は不安もあり、税務相談会場で電子申告をしなかった方も、しだいに電子申告を選択するようになっているのでしょう」
みんなが「電子申告」に慣れてきたということか。
「はい。さらに、2017年からの簡略化で、電子申請の利用者はもっと伸びるでしょう。個人所得税で電子申告が普及しない理由の一つといわれていたのが、住基カードなどの個人の認証手続きでした。今回の改正で、個人の認証に、携帯電話という新たな手法が取り入れられ、ハードルが低くなりました。
また、住宅ローン控除の添付資料は、これまで紙での提出が求められていました。こうした書類についても、PDFファイルの添付による提出が可能になります。電子データでの提出は、税務署でも、保存コストが大幅に削減できるので、一石二鳥ですね。
ただし、PDFファイルで提出する場合、税務署からの問い合わせがあったときには、必ず原本を提示できるように保存しておかなければなりません。注意してください」
毎年2~3月、領収書と格闘して疲弊する納税者は多い。申告作業の簡便化は大歓迎だ。
「国税局は今後も、電子申告のさらなる普及のために、アンケートをとって改善を進めるでしょう。ですから、どんどん、電子申告の普及率は上がっていくと思われます。
さらに2015年10月からは、国民一人一人の住民票、社会保障、税などを一括して一つの番号で管理する『マイナンバー制度』が始まります。この制度が始まれば、医療費控除の領収書の添付すら必要なくなるともいわれています。
マイナンバーによっても、電子申告はさらに簡単になるでしょう」
久乗税理士はこのように話していた。
【取材協力税理士】
久乗 哲 (くのり・さとし)税理士
税理士法人りたっくす代表社員。税理士。立命館大学院政策科学研究科非常勤講師、立命館大学院経済学研究科客員教授、神戸大学経営学部非常勤講師、立命館大学法学部非常勤講師、大阪経済大学経済学部非常勤講師を経て、立命館大学映像学部非常勤講師。第25回日税研究賞入選。主な著書に『新版検証納税者勝訴の判決』(共著)等がある。
事務所名 :税理士法人りたっくす
事務所URL:http://rita-x.tkcnf.com/pc/
(弁護士ドットコムニュース)