バレンタインデーに沸く2月14日の東京・渋谷で、「恋愛資本主義反対」を掲げる団体、革命的非モテ同盟(通称:革非同)が毎年恒例の「バレンタインデー粉砕デモ」を実施した。
今回の参加者は15人ほど。昨年12月に行われたクリスマス粉砕デモとは違い、ほとんどが男性で、アラサー以上の世代が多いようだ。渋谷の宮下公園からスタートし、警察に誘導されながら街中を20分かけて練り歩いた。
「モテない人は努力しても無理。モテへの累進課税が必要」
「お菓子会社の陰謀に踊らされるな!」
「非モテへの人権蹂躙を許さないぞ!」
「もらったチョコの数で人間を評価するな!」
拡声器を使いながら参加者たちがシュプレヒコールを上げる。「リア充爆発しろ!」「カップルは自己批判せよ!」といったお馴染みのフレーズも叫んでいた。
革非同の革命評議会議長、マーク・ウォーター氏はデモの趣旨について、「バレンタインは非モテを苦しめる恋愛資本主義の象徴。なんとしてでも粉砕しなければいけない」と説明。今年は2月14日の当日にデモを行うことができ、気合いが入っているようだ。
キャリコネニュースは参加者にも取材した。今回が初参加だという30代の独身男性は、今年は義理チョコをもらうことができたが「モテには程遠い」と語る。
「モテない人が努力しても限界があって、モテる人との格差は広がるばかり。ピケティ流にいうと、モテへの累進課税と再分配が必要です」
ただ、沿道から見ている人はいつも通り冷ややかだ。友達と遊びに来ていた女子高生は「見てて恥ずかしい」とバッサリ。女性と一緒にいた30代男性は「デモ隊の人数が少ない。盛り上がってないんじゃないか」と語っていた。
英メディア関係者「こんなエクストリームなデモは日本だけ」
一方で、今回特筆すべきは海外メディアの取材の多さだろう。ワシントン・ポスト紙などが事前にデモの紹介記事を配信していたことを受けて、ロイターやAFPを始めとした海外メディアのクルーが殺到。ざっと見ただけで20人以上おり、参加者よりも取材する人の方が圧倒的に多い、という印象だ。
英メディア関係者はデモの開催を英ガーディアン紙で見て、取材にやってきたという。
「バレンタインに反対するという気持ちは分かるけど、普通デモはしない。こんなエクストリームなことをするのは日本だけ」
ニュージーランド出身の英文記者も「海外のネットでは、日本を『おかしな国』として楽しむ風潮がある」と説明する。バレンタイン粉砕デモもそうした文脈の中で注目されているという。また、今回初めて革非同のデモを見て、警察が付き添っていることが気になった。
「バレンタイン反対という変わった主張だけど、きちんと警察が見守っていて平和だなと思った。日本は言論の自由が保障されている」
「これまでの活動が世界でも認められてきている」
デモ終了後、革非同メンバーは渋谷ヒカリエのカフェで反省会を行った。今回はデモ開始前に「ヘイトスピーチや卑猥な言葉で沿道を煽る行為は禁止」とアナウンスしたこともあり、「非常に統制が取れたデモだったと思う」とマーク・ウォーター氏は語る。
海外から取材が殺到していることについては、「我々のこれまでの活動の成果が世界でも認められてきている」とコメント。
ただ、今回は取材陣があまりに多く、対応がスムーズに行かない面もあった。今後は、3月のホワイトデー粉砕デモに向け広報態勢を整え、チームでメディア対応できるようにしていくという。「次回は日本の4大新聞にも是非取材に来てもらいたい」と話していた。
帰り道では、革非同メンバーがヒカリエのバレンタイン特設コーナーの前を通りかかる一幕も。カップルたちと一触即発、と思いきや、一部メンバーが試食用のチョコを美味しそうに食べている。「スイーツは大好き」だといい、意外とバレンタインを楽しんでいる様子だった。