2015年02月13日 10:31 弁護士ドットコム
カップヌードルなどで知られる食品大手「日清食品ホールディングス」は2月上旬、主力子会社・日清食品の新しい社長を発表した。創業者の安藤百福氏の孫である安藤徳隆氏(37)が、4月1日付で就任することになったのだ。
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安藤氏は現在、日清食品ホールディングス専務を務めているが、30代での社長就任は「若い」という印象を与える。いわゆる「創業者一族」にあたるわけだが、ほかにも、トヨタ自動車やサントリーのように、創業者一族がトップをつとめている大企業がある。
同族経営のトップは「親の七光り」のようなネガティブなイメージもあれば、創業者の理念を大事に守り続けるというポジティブなイメージもある。一般的に、同族経営にはどのようなメリットとデメリットが考えられるのか。近藤学税理士に聞いた。
「このような世襲制の企業は『ファミリービジネス』とも呼ばれています。まず、デメリットとして、コーポレート・ガバナンス上の問題が常に取り上げられますね。
創業者一族がトップにいる企業の不祥事として、カジノにはまった大王製紙の元会長による巨額借り入れ事件(2011年)は、記憶に新しいところです。このほか、不二家の期限切れ材料使用問題(2007年)、日本ハムの牛肉偽装問題(2002年)なども、覚えている人が多いでしょう。いずれも、ファミリービジネスの企業でした」
創業者一族の権限が強すぎたことが原因ではないだろうか。
「しかし、強い創業者一族の存在は、メリットにもなりえるのです。
(1)決断が早い
(2)会社の大株主なので、投資家と利害が一致しやすい
(3)生涯現役のトップが多いため、長期的な視点で経営できる
といったメリットが挙げられるでしょう。オーナー経営者がいる企業の平均株価は、日経平均株価よりも高いというデータもあるそうです」
オーナー一族のメリットがしっかりと発揮できるのであれば、組織を運営しやすいだろうし、その結果として業績が伸びていくのかもしれない。
「そうですね。小林製薬や大塚製薬(大塚ホールディングス)、ヤマト運輸(現在は非同族経営)など、それまでの常識を破るユニークな商品をヒットさせる企業は、ファミリービジネスならではの決断力が功を奏しているのではないでしょうか。
ファミリービジネスの特徴である『独断専行』のメリットとデメリットは、表裏一体です。成功の鍵は、このメリットをいかに経営戦略に活かし、企業理念などの力によってデメリットをどう消し去るかにあるようですね」
近藤税理士はこのように話していた。
【取材協力税理士】
近藤 学 (こんどう・まなぶ)税理士、資金繰り表ドットコム代表
京都府郊外で税理士事務所を運営し、最近は、会計ソフトから変換できる資金繰表作成ソフトを開発し販売している。また3冊の著書と、1冊の翻訳書を出版している。
事務所名 : 近藤学税理士事務所事務所
URL : http://shikingurihyou.com
(弁護士ドットコムニュース)