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「欧米ではパスポートをもつのは市民の権利」 外国人記者が「旅券返納」に驚き

2015年02月12日 18:21  弁護士ドットコム

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シリアへの渡航を計画し、外務省にパスポート返納を命じられた新潟市のフリーカメラマン杉本祐一さん(58)が2月12日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開き、「パスポートを取り上げられたら、フリーカメラマンとしての仕事ができない」として、パスポートを返してほしいと訴えた。


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杉本さんは「もともと『イスラム国』の支配地域にいくつもりはなく、『イスラム国』から解放された街で、海外記者向けのプレスツアーに参加したいと考えていた。そもそも、シリアに入るかどうかも、現地の信頼できる仲間と相談して、現地情勢を見定めながら判断しようと思っていた」と話し、無謀な取材計画を立てていたわけではないと強調した。



また、「今回の事例を悪しき先例としたくない」として、外務省に異議申立を行い、認められなければ法的措置を検討すると表明した。一方、会見に参加していた外国人の記者からは「欧米ではパスポートを持つことは市民の権利」「我が国では返納はありえない」という指摘も出た。



●「旅券返納を許すと、報道機関にも影響がある」


「法的措置を検討する」という杉本さんに対して、日本人の記者からは「訴訟を起こす覚悟はあるのか」という質問がぶつけられた。記者は「場合によっては最高裁まで争うことになるだろう。時間もお金もかかるが、それでも裁判をするつもりはあるのか?」と問いかけた。



杉本さんは「これは私事であると同時に、多くの仲間たち、フリーランスのジャーナリストの問題だ。そうした人たちが仕事を失うことはあってはならない。旅券返納を許してしまうと、日本の報道機関にも影響があると心配している」と答え、「最後(最高裁)まで戦います」と決意を述べた。



一方で、海外メディアの記者たちからは、外務省による返納命令に対して、驚きの声があがっていた。



イタリア人の記者は、質問する際に「イタリアでは返納はありえない」と述べた。また、フランス人の記者は、「欧米諸国では、パスポートを持つことは市民の権利だ。日本では、外務省が国民にパスポートを『与えてあげる』というように感じる」と指摘していた。



(弁護士ドットコムニュース)