前回のコラムのカットに、コンピュータウィルスに感染する経路として「電子タバコ」と書いたところ、読者の方から「電子タバコから、どうやってウィルス感染するの?」という質問をいただきました。
ああ、そうか。筆者はそういうものの対応を日常的にこなしておりますが、普通に考えたら「そんなもの」で感染するわけがないと思いますよね。というわけで、今回は意外なものでもコンピュータウィルス(マルウェア)に感染してしまうしくみを紹介します。(文:光明隠歌)
「変なサイトなんか見ないから」では済まされない
パソコンも同じように、DVDやUSBメモリといった外部記憶媒体を接続すると、その内容を自動的に読みこむようになっています。内容というのは、プログラムの一種です。
そのとき、もしも「DVDやUSBメモリの内容にマルウェアが含まれている」としたら、どうなるでしょうか。パソコンに接続した瞬間に、ウィルスプログラムが読み込まれる可能性が非常に高くなります。
さらにマルウェアに感染したそのパソコンに、別のUSBメモリを挿すと、そのメモリも感染してしまいます。これが「インターネットを介さないウィルス感染」の代表的なケースです。
「変なサイトなんか見ないから!」という人ほど、こういう一見何の問題もない機器からのウィルス感染を想定していません。セキュリティ対策ソフトなんかいらないよ、と言う人は考えをあらためてください。
ちなみにマルウェアは、一見何の問題のないソフトに見せかけていたり、正しいプログラムコードの一部を書き換えてその機能を持たせていたりします。普通にDVDが問題なく再生できたからといって、ウィルス感染していないなんて言えないのです。
個人情報や暗証番号がウラから漏れているかも
ここで問題となるのが、一般流通しているDVDが販売時点でウィルス感染していたケース。普通はウィルスチェックをした上で出荷されるのですが、雑誌付録などで、ごく稀にウィルスが混入した製品が出まわることがあります。
このとき、パソコンにセキュリティ対策ソフトがインストールされていればチェックしてくれますが、自動チェック機能をオフしていると、あっという間に感染してしまいます。
感染しても画面に何らかの変化が見られないことも多く、本人は感染したことに気づきません。しかしウラではウィルスプログラムが動き出し、アナタが入力した個人情報やカードの暗証番号などをせっせとどこかに送りつけている……ということもありうるのです。
また、電源が簡単に取れるので使われがちなUSBポートも、メモリのような情報を読み書きするためのもの以外に、スマホやデジカメの充電、簡易ヒーターや扇風機など、さまざまなものの電源ポートとして使われています。
扇風機など一見して何の情報の読み書きを行わない機器に対しても、パソコンは接続されると情報を読みに行きます。そしてなにもないと戻ってくるわけですが、このとき何らかの情報が含まれていて、それがマルウェアだったらどうなるでしょう。
パソコンと接続できるあらゆる機器が感染源
先日、とある電子タバコの充電器にウィルスプログラムが仕込まれていて、充電器をパソコンに挿した瞬間にウィルス感染するというニュースが流れておりましたが、今はそういうことができてしまう世の中だということを忘れてはなりません。
パソコンと何らかの方法で接続できる、あらゆる機器からのウィルス感染を想定しておかないといけない時代になってきています。数年後には「インターネットにつながる冷蔵庫や洗濯機、電子レンジが感染源」なんてことも、ありえない話ではないのです。
皆様も信頼できるセキュリティソフトを入れるなど自衛のほどよろしくお願いするとともに、何かおかしいと思ったらサポーターにお気軽にご相談いただければと思います。