2015年02月11日 12:41 弁護士ドットコム
税制改正でアベノミクスは加速できるのか——。政府は1月中旬、2015年度の税制改正大綱を閣議決定した。与党が年末にまとめた税制改正大綱を踏まえたもので、1月下旬から始まった通常国会に関連法案が提出されている。
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財務省がまとめた改正の概要をみると、目玉となっている「法人減税」だけでなく、「住宅ローン減税の延長」や「子ども版NISAの創設」など、暮らしに直接影響がありそうなキーワードも数多く含まれている。
今回の税制改正のポイントは、どこにあるのだろうか。佐原三枝子税理士に聞いた。
「今回の税制改正について、政府は『消費税が増税されても個人消費を腰折れさせない』ということにポイントを置いているように思います。大きくは次の2点です。
(1)車や住宅といった大型消費財の購入を促進したい
(2)その購入を助けるためにも、上の世代から若い世代へ資産が移転する流れを作りたい」
佐原税理士はこのように解説する。具体的には、どう変わるのだろうか。
「車の消費促進といえば、エコカー減税です。
燃費性能に対する条件を厳しくしたうえで、『自動車取得税』と『自動車重量税』の減税を、2016年度まで2年間延長することが決まりました。
さらに、軽自動車にも減税を導入しました。新車に限りますが、2015年4月1日以降に取得した軽自動車には、燃費性能に応じて、翌年度分の軽自動車税を軽減する制度が新しくできました」
ほかにも、注目すべきものはあるのだろうか。
「『住宅ローン控除』があげられます。住宅ローンの金利負担を軽減するために、所得税から控除を受けることができる制度です。2017年末で終わるはずでしたが、2019年6月30日まで延長されました。
住宅取得資金を親や祖父母などから贈与された場合の贈与税の非課税制度も、昨年末で終了するところを2019年6月30日まで延長しました。
しかも、消費税が10%になった場合、課税されない『非課税限度額』は現行制度から大幅に引き上げられることになりました」
2つ目のポイントとして挙げた、若い世代への資産移転についてはどうなのか。
「若年層への資産移転を促す意味で、子ども版NISAの制度ができました。年間80万円を限度に、未成年者でもNISA口座を持つことができるようになりました。
そのほか、成人した子や孫に対して結婚や子育ての資金を贈与した場合、1000万円までなら一括で贈与しても非課税とする制度が、創設されました。ただし、子や孫が50歳になるまでに結婚や子育てで使わないと、贈与税が課税されるしくみです。
これと似た教育資金贈与の非課税制度は、2019年3月末まで延長されました。使用範囲として、通学定期代や海外留学費用も加えられることになり、使い勝手が広がっています」
国民にとって、ありがたい税制改正になったということだろうか。
「そうとは言い切れません。このように減税の制度が継続や創設されている一方で、消費税は2017年4月に『待ったなし』で10%に増税されることが決まりました。
国民の日々の暮らしへのインパクトという意味では、消費税の増税が最も影響があるのではないでしょうか」
佐原税理士はこのように指摘していた。
【取材協力税理士】
佐原 三枝子(さはら・みえこ)税理士・M&Aシニアスペシャリスト
兵庫県宝塚市で開業しています。工学部、メーカー研究所勤務から会計の世界へ転向した異色の経歴です。「中小企業の最良の伴走者になる」ことを事務所理念とし、税務にとどまらず、経営改善支援、事業承継や海外事業展開を手掛けています。
事務所名 : 佐原税理士事務所
事務所URL:http://www.office-sahara1.jp/
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