会社勤めをしている人であれば誰でも、仕事を辞めたいと思う瞬間があるものです。仕事に不満があるとき、仕事を辞めるのが最良の選択だと思うのは実に簡単です。しかし時に私たちは、長期的なキャリアやメリット、業界における雇用や活躍の機会などを十分考えずに辞めるという性急な決定を下すことがあります。
悪い上司に当たったり同僚と気が合わなかったりなどの理由は、人事異動の激しい大企業では一過的なものです。「辞めます!」という言葉を発する前に、その理由を考えてみましょう。2月1日付のリンクトインに、米ビジネス書著者のバーナード・マー氏が「いまの会社を辞めるべきでない5つの理由」を書いています。(文:夢野響子)
1.あなたが辞めた後の計画を立てていないから
数か月の失業期間をサポートするだけの蓄えがない場合、計画なしにやめるのは考え物です(特に米国では辞職した場合、失業手当は出ないので)。少なくとも数か月分の生活費がない場合や、ほかに一時的にお金を稼ぐつてがない時に仕事を辞めるのは最悪です。
2.採用担当者は「雇用中」の人を欲しがるから
リクルーターや雇用者(経営者や管理者)は、現在雇用されている人を採用したがります。あまり意味のないことですが、統計では雇用者は現在勤務中の人を雇う傾向があります。実際、失業期間が長いほど、再就職は難しくなります。
3.社内で昇格した方が、転職より利点が多くあるから
企業の多くは、企業に対する忠誠心を持つ人や長期勤務者に特典を与えます。もしあなたが勤務している会社内で異動することが可能である場合には、新しい会社へジャンプするよりいいかもしれません。新しい会社にはあなたの給与履歴も年功序列も、ストックオプションもないのですから。
4.「退職希望」は強い交渉力となるから
会社を辞めようとする場合、会社に対するあなたの交渉力は強くなります。しかし感情的になって退職届を叩きつけるようなことをすれば、逆に今の会社と転職先の両方に対して交渉力を失うことになります(引き留めたり引き抜いたりするために、条件を引き上げる必要がなくなるということでしょう)。自分の置かれた状況を改善できる余地を考え、交渉する方法を見つけ出すのが賢明です。
5.隣りの芝生はいつも緑色に輝いているものだから
不満を抱え感情的になっている時には、何でも現在の仕事よりは優れて見えます。しかし、すべての仕事には利点と欠点があることを思い出してください。利点の多い仕事は、通勤時間が長いかもしれません。1人の悪い上司を離れて、他の悪い上司につくことになるかもしれません。急いで辞める決心をする前に、辞めずに変えられることはないか考えてみてください。
夜間学校に行ってみる、他の部門でのボランティア労働をしてみる、希望分野でメンターを見つける――。そういったことを試してみると、現状が耐えやすくなるかもしれませんし、あなたの準備ができたときに成功につながるかもしれません。
おまけ:履歴書に傷がつくから
マー氏がもう一つ、ボーナスとして退職すべきでない理由に追加したのは、「履歴書に傷がつくから」というものです。もし今の職場で1年以下しか勤めていない場合は、最低1年間を満たすようにして、履歴書の職歴として書き込めるようにするのがいいでしょう。リクルーターや雇用者は、数か月ごとに仕事を変えるジョブホッパーを敬遠します。
これらの理由をすべて検討して、それでも辞めたいと思われるのは自由です。でも、計画だけは立てて行動してください。くれぐれも衝動的でないように。もし過去に退職経験をお持ちなら、その時どう考えていたらよかったかも考えてみてください。…マー氏は、このように勧めています。
(参照)5 Key Reasons NOT to Quit Your Job (LinkedIn)
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