8日、オーストラリアのマウントパノラマ・サーキットで伝統の耐久レース『バサースト12時間レース』が開催され、千代勝正/ウォルフガング・ライプ/フロリアン・シュトラウス組ニッサンGT-RニスモGT3が優勝を飾った。
オーストラリアのマウントパノラマで1991年から開催されているバサースト12時間は、近年GT3カーをトップカテゴリーとして争われており、オーストラリアの強豪エレバスをはじめアジアの強豪チームが多数参戦。さらにヨーロッパからも多くのエントリーがあり、レベルが高くなっている。
迎えた今季のレースは、エレバスのほかにアジアからはアストンマーチンを走らせるクラフト・バンブー、GTアジア王者のクリアウォーター、さらにヨーロッパからはニュルブルクリンク24時間、スパ24時間王者のフェニックス・レーシングが参戦。また、ベントレーワークスのMスポーツも姿をみせた。
そんな中、予選から戦いは白熱。ローレンス・バンスール駆るフェニックスの15号車アウディR8 LMSウルトラがポールポジションを獲得するが、3番手につけたのが千代がアタックを担ったGT-Rだ。ただ、千代は予選中にマシンをヒット。チームは決勝に向けてマシンを修復した。
迎えた早朝5時50分のスタート以降、高いペースで上位をうかがったGT-Rは、114周目には首位に浮上する。ただバサースト12時間はセーフティカーが多数出動するレースであり、終盤まで首位争いは緊迫。残り1時間の時点で、千代の乗り込むGT-Rは3番手。先行するMスポーツのベントレー・コンチネンタルGT3、フェニックスの15号車アウディとは僅差。最後のSCはチェッカーまで残り4分というところで明けた。
そこで千代は、SC明けの瞬間に猛然とダッシュを決め一気にアウディを、続くストレートでベントレー一気に抜き去ると、そのままベントレーを先頭とした2番手争いを後目にトップでチェッカー! アジア、ヨーロッパの強豪を相手に非常に価値がある優勝を飾ってみせた。
「リスタートのことだけを考えて、最後のSCラップを走りました。レース再開の周は最終コーナーから力をためて、一気にフル加速したことが功を奏しました。2台をいっぺんに抜くことができたのは自分自身でも信じられないほどです」と千代はニスモのホームページに語った。
また、ニスモ・グローバルアスリートチームを率いた田中利和チーム代表は「応援していただいたファンの皆さん、多くの関係者の方々にやっと優勝をお知らせすることができます。ありがとうございました」とニスモHPに語った。
「今日のレースは、SCラップが幾度ともなく出る状況の中、チームは徹夜でクルマを修復したあとでも集中を切らすことなく、ドライバー、スタッフ一丸となって戦略通りレースを組み立てることができました」
「そして、最後の2ラップで5台がトップ争いをするという、他に類を見ない非常にエキサイティングな場面に遭遇しました。その中、千代が昨日のミスを挽回する素晴らしい走りでトップをもぎ取る劇的な形で優勝することができました」
このバサーストでは1992年に、R32スカイラインGT-Rが優勝を飾っており、今回のGT-Rはそれ以来の快挙となった。