2015年02月08日 10:51 弁護士ドットコム
ネットで「日本三大祭り」の一つとも言われている「ヤマザキ春のパン祭り」が2月1日に始まった。食パンや菓子パンの袋に貼ってある「応募シール」を決められた点数分だけ集めて、専用のハガキに貼って送ると、皿などの食器がもらえるというキャンペーンだ。
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この応募シールについて、「スーパーに行ったら、一番高い点数が付いてるはずのパンのシールが、棚に並んでるすべての在庫に付いてなかった」とネットで報告している人がいた。どうやら、パンを買わずに応募シールだけをはがしていく人がいるようだ。
コンビニやスーパーで売られているパンを買わずに、袋からキャンペーンの応募シールだけをはがして持ち去る行為は、犯罪にあたるのだろうか。寺林智栄弁護士に聞いた。
「パンを買わずに応募シールだけをはがす行為は『窃盗』に該当すると考えられます」
寺林弁護士はこのように語る。なぜだろうか。
「シールは、パンの袋から簡単にはがすことができ、しかも集めれば食器をもらえるため、それ自体がパンとは別な財産的価値を持つ『財物』といえます。ですから、『財物を奪取する行為』ということができ、窃盗罪が成立するでしょう。
ただ、シールを集めただけでキャンペーンに応募しなかった場合は、シールの財産的価値は著しく低いため、刑罰は受けなくて済むかもしれません」
もし、はがしたシールを集めてキャンペーンに応募し、食器をもらった場合はどうだろうか。
「窃盗罪だけでなく、詐欺罪にあたる可能性もあります。あたかもパンを買ってシールを集めたかのように装って、パン会社をだます行為といえるからです。
社会的な影響が大きいと捜査機関に判断された場合には、起訴されて処罰される可能性も否定できません。『タダでもらえるお皿だから』と気軽な気持ちでシールをはがすのはやめましょう」
寺林弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。東京弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)を経て、2014年10月開業。刑事事件、離婚事件、不当請求事件などを得意としています。
事務所名:ともえ法律事務所
事務所URL:http://www.tomoelaw323.com/