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回転寿司が居酒屋業界に殴りこみ! 「若い女性向け」「つまみ充実」「お酒も楽しめる」

2015年02月05日 13:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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飽和状態となっている回転寿司店が、新業態に鞍替えして生き残りを図る動きが広まっている。2015年2月3日放送の「ガイアの夜明け」は、あの手この手でサバイバルに奮闘する回転寿司業界の裏側に迫った。

全国に400店舗を展開し売上高業界1位の「あきんどスシロー」は、これまで郊外型の店舗で低価格の寿司を売りにしてきた。職人から叩き上げで会社を牽引してきた豊崎賢一社長(2月1日より取締役最高顧問、50歳)は、新しい試みについて幹部社員にこう話す。

「東京に新店舗を出したい。それも、回らない寿司。コンセプトは『スマートな寿司ダイニング』。5年で40店舗くらい開けたい」

スシローのターゲットは「20~40代の女性」

豊崎氏が打ち出した新たなターゲットは、20代から40代の女性。寿司だけでなくアルコールも充実させ、客単価はこれまでの4倍、4000円を目指す。

女性に特化したメニューの開発を任されたのは、商品開発課課長の吉田啓之さん(37歳)。ザ・リッツ・カールトン大阪の直営店で板前をしていたが、豊崎社長に請われて2年前にスシローに転職した。

吉田さんはアイデアが浮かばず悩みながらも、女性社員に「いろんな種類が少しずつある方が食べたいと思う」などとアドバイスを貰い、和食の世界で培った手綱寿司をアレンジした、小さくて色鮮やかな巻き寿司18種をそろえた。

市場に出ない珍しい野菜を社長とともに買い付け、彩り豊かで珍しい根菜のサラダをメニューに加えた。20~30代の女性ばかりを集めた試食会では、目の前に並べられた瞬間から歓声があがり、「かわいい、おいしい」と大好評。その様子をマジックミラー越しに隣室から観察していた豊崎社長も思わずニンマリしていた。

新店舗は今年1月、「ツマミグイ」という名前で東京・中目黒に開店。外観も店内もモダンなつくりで、テーブルごとに色や家具を変え食器類も女性客を意識した可愛らしいものに一新した。オープン初日は女性客でにぎわい、小さな巻き寿司は見た目の鮮やかさもあり大好評でお酒もすすむ。この日の客単価は4400円と目標を上回った。

アルコールで売上増ねらう「がってん寿司」

埼玉県を中心に60店舗を展開する「がってん寿司」を運営するアールディーシーの東金吉明社長も、業態に危機感を抱いている。

「回転寿司だけに頼っていると今後厳しい。お寿司とお酒が楽しめる新しい業態が必要」

新業態は、すでに「承知の助」川口駅前店で実現している。カウンターと個室もあり、客から見えない回転レーンが、注文した商品を自動的に個室に届けるしくみだ。

「がってん寿司」の売上に占めるアルコール比率は6%だが、「承知の助」は20%、客単価もがってん寿司より400円高い2200円ということで、ここに力を入れるのも肯ける。

酒のつまみにも力を入れており、元板前で商品部の川村圭さん(45歳)が鳥取県境港でベニズワイガニを直接買い付けていた。通常むき身で売られるカニ足を殻つきのまま仕入れ、店で殻抜きすることで独特の風味が味わえる。

季節限定の目玉メニュー「かに味噌の甲羅焼き」などのカニ料理は日本酒に合うと大好評で、狙い通りの売れ行きだった。川村さんは「つまみを開発してアルコール比率を上げ、売り上げもその分上乗せして行きたい」と語り、更なる店舗展開へ向けて意欲をみせた。

競争激化でますます人件費が削られるのでは

最近、牛丼屋やファミリーレストラン、コンビニなどが、店舗の一部でおつまみとお酒を充実させて人気を博しているという。どの外食業もアルコールで客単価を上げたい目論見があるようだ。従来の居酒屋業界にとっては、かなりの脅威となるだろう。

しかし競争が激化していけば、コスト削減がどんどん徹底されていく。回転寿司チェーンでは板前を置かず、寿司作り機械でシャリや巻き寿司を作っていた。消費者にとっては安くておいしい店が増えるのは歓迎だが、働く立場からは雇用が減り人件費が抑制されるのが心配だ。(ライター:okei)

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