皆さん、体調はいかがでしょうか。筆者は年明けより体調不良が続いております。そういえば、その昔「自分が風邪を引いたら、うちのパソコンがウィルス感染した」という問い合わせがありました。
人間に感染する風邪ウィルスとコンピュータウィルスは全然違うものだと説明してもなかなか通じなくて苦労しました。己の常識に照らして「嘘だー! デマだろー!」とおっしゃられるかと思われますが、昔はそういう方が本当にいたんですから…(苦笑)(文:光明隠歌)
問い合わせ電話の後から「エロメール」が届くように
ある日のコールセンターにて、「あのなあ、この間、電話かけたんだけど」と中年っぽい男性の声。履歴を確認すると、確かに残っています。
「で、その時の故障は直ったんだけど。電話切った途端にな、変なメールがたくさん来るようになったんじゃ」
「変なメール、ですか?」
「そう、なんか……エロいのとか、広告とか」
前回のコール対応の履歴を確認しましたが、不具合の内容は「マウスが動かない」であり、直接関係ありそうなものは見当たりません。
「なあ、この電話から、ワシのパソコンにウィルス仕込んでねえか?」
「え、電話から、ですか?」
そんな高等技術、誰かできるんですか?!
「息子が言うには、パソコンのウィルスは電波で感染するんだってな。電話は電波だろ。ワシの携帯電話から、パソコンに感染したんだろ!」
確かにWi-Fiでネット通信していれば、そこ経由でウィルス感染するけど。そうか、電波ってそういうことか…。えっと、違う、ちょっと待って。携帯電話?
上司も信じず「こんな問い合わせあるわけない」
「お客様、失礼ですが。その携帯電話とパソコンを、ケーブルか何かでつなげたことはありますか?」
「そんなことしたら、もっとパソコンがおかしくなるだろ!」
じゃ、したことないってことでいいのかな。そうすると、コンピュータウィルスの「空中感染」ってことかあ。風邪と一緒だなあ、って違う。そうじゃない。
「あのお客様、前回のお電話の前、インターネットされてたとおっしゃってましたよね? そのとき、メールアドレスを登録されなかったでしょうか?」
「おう。買い物しとったんじゃ。だって登録しないと買えないじゃないか」
ビンゴかな。じゃ、この説明でわかってもらえるかな。
「可能性としまして、広告メールはそのお買い物されたサイトからのものではないかと。あるいは、どこかのタイミングでお客様のアドレスがそういう業者にわたってしまい、それで届いているかと思われます」
「じゃあ、電話で感染したわけじゃないんだな?」
まだ言うのか、このおっさん。「少なくとも、こちらに電話をかけることでウィルス感染することはありません」と言ったところで、「ほな、いいわ。手間かけたな」と切られてしまいました。個人的には未解決ですが、お客様が終話してしまったので仕方ありません。
対応ログに残しておいたところ、後で上司に質問攻めにあいました。こんな問い合わせあるわけないと。しかし世の中、皆がそう考えてくれるわけじゃない。「己の常識、世界の非常識」なのだよなあと痛感するのでした。