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加藤智大被告人に接見を求めた「秋葉原事件」被害者男性「目を見て話がしたかった」

2015年02月02日 20:11  弁護士ドットコム

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東京・秋葉原で2008年6月、7人が殺害され、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で、最高裁は2月2日、一審・二審で死刑判決を受けた元派遣社員・加藤智大被告人(32)の上告を棄却した。死刑判決が確定する。


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判決後、東京・霞が関の司法記者クラブでは、一人の被害者の会見が開かれた。7年前の事件で、加藤被告人にナイフで刺され、重傷を負ったタクシー運転手の湯浅洋さん(61)だ。湯浅さんは「これだけの被害が出た事件なので、死刑を望んでいた。当然の結果だ」「犯した罪の反省をしてもらいたい」と語った。



●「加藤被告人に気付いて、抵抗していたら・・・」


事件が起きたのは、日曜日の昼すぎ。加藤被告人が運転するトラックが、歩行者天国だった秋葉原の交差点に突っ込み、歩いていた5人をはねた。さらにトラックから降りて、ナイフで次々と12人を刺した。



タクシーを運転しているときに事件に遭遇した湯浅さんは、車から降りて、はねられた人を救助しようとしていたとき、背後から迫った加藤被告人にナイフで刺された。一時は意識不明の重体に陥ったが、九死に一生を得た。



だが、刺されたとき、加藤被告人の顔を見ていなかったことから、湯浅さんは「自分が秋葉原事件の被害者だと、今でも思えない部分がある。個人的には、憎しみはない」と語った。



一方で、「これだけ悲惨な事件なので、亡くなった被害者のことを考えたら許されるものではない」と述べ、「私が加藤に気付いて、抵抗していたら、時間を稼げていたかもしれないし、その後の被害者もでなかったのではないか」と悔いた。



●「生きることはそれなりの崇高さがある」


湯浅さんは「悲惨な事件は秋葉原事件で終わらせたい」との思いから、加藤被告人に計6通の手紙を出した。「加藤が出てこないと事件の解決につながらない」「目を見て話さないと真実は見えてこない」と考え、接見も申し込んだ。手紙の返事は2回あったが、接見に応じなかったことを詫びる内容だった。湯浅さんは「可能であれば、目を見て話がしたかった」と述べた。



加藤被告人へのメッセージとして、「社会に対する不満があったにせよ、何の関係もない、顔も知らない人たちを車ではねて、後ろから刺した。卑怯なやり方だと思う。いろんな生き方があるが、生きることはそれなりの崇高さがある。死刑を目の前にして、もう1回事件を考えて、自分の犯した罪の反省をしてもらいたい」と淡々と語った。


(弁護士ドットコムニュース)