ニッサン/ニスモは2日、2015年のWEC世界耐久選手権に投入するLMP1カー『ニッサンGT-R LMニスモ』を初公開した。チーム代表のベン・ボウルビーは、昨年から導入されたLMP1の新たな車両規則の中でニッサンが「2014年までの従来のLMP1カーの概念をすべて覆す」ことを可能にしたのだと語っている。
1999年以来、16年ぶりにスポーツカー耐久レースのトップカテゴリーへの復帰を果たすニッサン。GT-R LMニスモは、発表前からフロントにエンジンを搭載しているのではないのかと噂され、テスト時と思われるリーク画像などもインターネット上で出回っていたが、日本時間2日に正式にその姿が公開された。
GT-R LMニスモは、3リッターV6ツインターボエンジンと運動エネルギー回生システムをフロントに備えたFFレイアウトとなっており、推測されていた通りフロントが長い特徴的な外観となった。ボウルビーは、これはエネルギー回生システム(ERS)の能力を最大限に引き出すためのレイアウトなのだと説明する。
「どれだけ素早くエネルギーをリリースできるかということがすべてなんだ。ダイナマイトを想像してみてほしい。ごくわずかなエネルギーであっても、瞬時に解放されれば大爆発を引き起こす」とボウルビー。
「重要なことは、エネルギーを貯めて素早くリリースすることだ。システムの競争力を高めることで、ERSから多くのパワーを引き出し、エンジンのパワーに加えることができる」
ボウルビーは、FFレイアウトで最大限のトラクションを得るため、重量配分や空力、そしてタイヤに関してもフロントに力点が置かれているのだと説明する。GT-R LMニスモは、フロントタイヤの幅が310mmとなっている一方、リヤタイヤの幅は200mmであることも特徴のひとつだ。
「FFでトラクションを得るため、重量配分を前方に持ってきている。空力も前方に重点をおいているから、重量配分にマッチするようにタイヤのキャパシティも前に持ってきているんだ」
また、LMP1クラスでは、1周あたりに使用することのできる電気エネルギーの量を2MJ/4MJ/6MJ/8MJの4段階から選択することができる(数値はル・マンでのもの)。高い数値を選べば、電気エネルギーでより多くのアシストをすることができるが、その分システムの重量もかさんでしまう。ボウルビーによると、ニッサンは最大値となる8MJを目標としているのだという。
「メガジュールの値が高いほど速く走ることができる」とボウルビー。
「課題は、大きく強力なエネルギー回生システムを重量制限を超えないように搭載することが非常に難しいということだ」
また、電気エネルギーの貯蔵システムに関する発表も今回は行われなかったものの、英AUTOSPORT.comはフライホイールを採用するのではないか、と指摘している。