ニッサン/ニスモは1日(日本時間2日)、ル・マン24時間/WEC世界耐久選手権の最高峰カテゴリーとなるLMP1クラスに投入する『ニッサンGT-R LMニスモ』を初公開した。ドライバーとしては、マルク・ジェネの起用が発表されている。
世界で最も高額と言われるアメリカンフットボールNFLの王座決定戦、スーパーボウルのコマーシャルで、ニッサンのル・マン/WEC参戦車両、GT-R LMニスモがついに公開された。
事前に推測されていた通り、GT-R LMニスモはフロントにエンジンを搭載。ライバルたちとは一線を画すレイアウトを採用し、外観も非常に特徴的なものとなった。駆動はFFとなっており、3リッターV6直噴ツインターボガソリンエンジンとともに運動エネルギー回生システムを備える。
タイヤ幅も特徴的で、フロントタイヤは310mmとライバルたちと同様となった一方、リヤタイヤは200mmを採用(他陣営はリヤタイヤも310mm)。またタイヤ内径に関しても、フロント/リヤともに他陣営より2インチ小さい16インチとなっている。タイヤメーカーはライバルと同じくミシュランだ。
今回の発表では参戦体制などは明かされなかったが、ドライバーのひとりとして、F1でフェラーリのテストドライバーを務めるとともに、昨年までWECでアウディのリザーブドライバーも務めていたジェネが起用された。その他のドライバーラインナップについては近々に発表されるということだ。
なお、マシンのテストはアメリカを拠点に実施されており、今週もサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で走行が続けられている。
ル・マンを含む全8戦の世界選手権として開催されているWECでのLMP1クラスには現在、トヨタ、アウディ、ポルシェの3社がすでに参戦しており、今年はニッサンを加えた4メーカーで総合優勝が争われることになる。
このLMP1クラスでは、メーカーチームにハイブリッドシステムの搭載を義務付ける一方で、エンジンやハイブリッドシステムに関する自由度は高い。ニスモの宮谷正一社長は「これこそがいままでになかったワクワクと言えます」と語る。
「持続可能であること私たちの最重要項目であり、ル・マンの技術規定はその点において新しいアイデアを追求する自由度があります。ル・マン24時間における我々の最高記録は総合3位であり、まだやり残した仕事が残っています」と宮谷社長。
「やるからには勝ちたいし、勝つための知見があると思っています。競争は他に類を見ないほど厳しく、この挑戦には身震いする思いです」
また、ニッサン/ニスモのグローバル・モータースポーツ・ヘッドオブブランドを務めるダレン・コックスは「世界中の観衆に我々のブランドDNAを示すことで、公道でのニスモとサーキットでのニスモを結びつけるんだ」と、LMP1参戦の目的を語る。
「我々は、あらゆるコミュニケーションチャンネルを通じて技術革新の夢や人間ドラマを語ることで、モータースポーツをより広めていきたいんだ。サーキットの外でも中でも我々は革新を続けるだろう。これはまだ序章に過ぎないよ」
ニッサンは昨年5月、同社のパフォーマンスモデルである“GT-R”の名が冠された『ニッサンGT-R LMニスモ』でル・マン/WECのLMP1クラスに参戦することを発表。その後、マシンに関する正式発表はここまでなされていなかったものの、エンジンをフロントに搭載しているのではないかと推測されており、1月にはマシンがテストをしていると思われるリーク画像や映像もインターネット上に出回っていた。