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残業280時間でも「一律80時間」でサビ残強制 厚労省立ち入り調査の半数超で「違法な時間外労働」発覚

2015年01月30日 18:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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厚生労働省が2014年11月に行った「過重労働解消キャンペーン」の一環で、過重労働が疑われる全国4561の事業所に立ち入り調査を行ったところ、50.5%に当たる2304事業所で違法な時間外労働があったことが発覚したという。

2015年1月27日発表の厚労省資料による。法令違反が発覚した事業所には是正指導が行われた。業種別では製造業が678事業所と最も多く、小売などの商業が506、接客娯楽業が242と続いた。

自殺者出ても「月100時間」残業やめない会社も

月の時間外労働が100時間を超える従業員がいたのは715事業所(15.7%)。厚労省の過労死ライン「80時間以上」を超えて働かされている人が少なくないことがうかがえる。

精神障害による自殺など長時間労働を原因とする複数の労災請求が同時期に出された後にも、月100時間を超える違法な時間外労働を他の従業員に行わせていた事業所もあった。

残業代の不払いも955事業所で発覚した。ある建設会社では従業員に最長で月280時間もの時間外労働を行わせながら、社内管理システム上の労働時間を36協定の上限である約80時間に統一して処理。これを不自然と感じた労働基準監督官が会社を追及したところ、別途作成している作業日報の存在が判明したという。

最長で月150時間の時間外労働をさせていたのにもかかわらず、正社員の多くを「管理監督者」として割増賃金を支払わなかった事業所や、休憩時間を多く取得したことにして割増賃金逃れをしていた事業所もあった。

なお、この立ち入り調査は、社員やその家族から通報があったり、労災請求が相次いだりしている事業所を重点的に行ったもので、それ以外にも過重労働が行われている会社がある。違法行為の証拠を握る社員は、普段から労基署に情報提供をしておくべきだ。

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