トヨタ自動車は1月30日、お台場のMEGA WEBで2015年のモータースポーツ活動発表会を行い、この場で豊田章男社長から、2017年のWRC世界ラリー選手権参戦が正式に発表された。トヨタのWRC参戦は1999年以来となる。
2009年のトヨタのF1撤退以降、これまで何度となく噂が上がっていたトヨタのWRC復帰が、ついに現実のものとなった。30日、お台場で開催されたモータースポーツ発表会で、つい立ての奥から姿を現したのは、トヨタ・ヤリス(日本名ヴィッツ)のワールドラリーカーだった。
WRC復帰の理由についてトヨタは、「実際にお客さまが日常使われる世界中の道で競われるWRCは、トヨタの『もっといいクルマづくり』を推進するために最高の舞台のひとつであると判断」したからだという。参戦は2017年で、ドイツのトヨタ・モータースポーツGmbH(TMG)が車両およびエンジンを製作。今季から実走テストを本格化させていく。
今季テストドライバーを務めるのは、WEC世界耐久選手権にもトヨタから参戦するステファン・サラザン、セバスチャン・リンドホルム、エリック・カミリの3人。ただ、2017年の参戦ドライバーは未定だという。
トヨタのラリー活動は、1957年のトヨペット・クラウンに始まり、1970年代には現在のTMGである、オベ・アンダーソン率いるトヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)がさまざまな車種でWRCに参戦。1975年1000湖ラリーでのTE27レビンでの優勝、1980年代はセリカでのサファリラリー3連覇などの栄光を獲得してきた。
また、1980年代後半からは、TTEによるWRC参戦が本格化。ST165、ST185とセリカで90年、92年にカルロス・サインツがチャンピオンを獲得し、93年~94年にはユハ・カンクネン、ディディエ・オリオールが王座を獲得。この2年はマニュファクチャラータイトルも獲得し、まさに黄金期を迎えた。
しかし、ST205セリカ導入とともに苦しむことになり、リストリクター規定違反も発覚。96年まで出場停止処分を受けることに。97年からはカローラWRCにスイッチし、99年にはふたたびマニュファクチャラータイトルを獲得するも、将来のF1参戦に向けTTEはル・マン24時間への参戦を決定。この時点でトヨタのWRC活動はいったん休止していた。
現在のWRCは、レギュレーションによりいわゆるBセグメントが主流となっており、ヨーロッパで販売するヤリスにベース車としての白羽の矢が立った。今後TMGの手によりヤリスWRCは開発が進められ、王者フォルクスワーゲンが走らせるポロR WRCやシトロエンDS3 WRC、フォード・フィエスタRS WRC、ヒュンダイi20 WRCといったワールドラリーカーに臨んでいくことになる。